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最終更新日:2015年1月19日(月)


産消協働 実践行動事例集23 旭川家具


「産消協働」実践行動事例集(事例19-23) 

家具は生活のデザイン 世界とのコラボレーションが産地を再生

旭川家具 (北海道旭川市)
http://www.asahikawa-kagu.or.jp/(旭川家具工業協同組合)


旭川家具

国際家具デザインコンペティション入選作品展ブース


鏡台や茶箪笥、座卓、長火鉢、古くから全国各地で生産されてきた家具。国内の豊富な森林資源を背景に、伝統や技術によって人々の生活空間を形作ってきた。

 

北海道の家具生産は、旭川市を中心に発展した。明治後期、軍の駐留や鉄道の開通などに伴って都市が形成され、様々な職人が移住してきたのがはじまりだ。

 

庁舎や学校、食堂などが建設され、当時、一般庶民の生活には必要なかった椅子やテーブルなどの洋家具が多く生産された。機能性や実用性、デザイン重視の気風は、旭川家具の特徴として現在にも受け継がれている。

 

その後、行政による「木工芸指導所」の設置、産地での展示販売会としては先駆的な「旭川木工祭」の開催など、地域を上げて木工業の発展につとめてきた。

 

こうして国内の代表的な家具産地として発展を遂げた旭川だったが、1980年代後半、生活様式の変化や輸入家具の普及により、次第に主力商品であるタンスの販売数は低下していった。

 

重厚で大型の高級家具、そんなイメージが定着していた旭川家具は、人々の生活感覚と少しずつズレはじめていた。


昭和24年に設立され、それまで力を合わせて旭川ブランドを育んできた「旭川家具工業協同組合」、その内部でも危機感は高まっていた。もともと技術力には定評がある。あとはこれまでのイメージを一新するような斬新な発想が必要だった。

 

当時、同組合の副理事長だった長原實さん(現会長、カンディハウス会長)が考えついたのは、旭川家具の技術力と世界の優れたデザインを融合させ、付加価値を高めること。それが、平成2年「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」の始まりだった。

 

フェアは3年に1回開催、世界中からデザインを受け付けることとした。家具のデザインは、人々の生活を形づくり、社会を構成する文化であるという認識に立ち、その未来のビジョンを示す役割を旭川が担うという趣旨だ。

 

平成19年のフェアの中心事業であるコンペには、50の地域から1085点もの応募があった。応募作品の中には、旭川家具として試作・製品化されるものもあり、その過程で旭川のメーカーも技術力と新しい発想を身につけることができる。

 

こうして培った新しい感覚によって、それまでのイメージを一新する家具を作り上げ、平成16年イタリア・ミラノ市の「国際家具見本市(ミラノ・サローネ)」、平成17~20年ドイツ・ケルン市の「国際見本市(ケルン・メッセ)」に出品した。

 

平成20年で連続4度目の挑戦となるケルン・メッセでは、過去最高の9000人以上が訪れ、各国との商談も成立した。前年に出展した作品は、ドイツのインテリア誌の主宰する世界のインテリア50選に選ばれた。旭川家具の技術とデザインが、家具の本場で認められたという実感があった。

 

平成19年には、「旭川のものづくり」の姿勢を明確にしようと「旭川・家具つくりびと憲章」を定めた。海外での実績はあっても国内ユーザーの共感を得なければ意味がない。旭川家具とはどういうものか、それを生産者からユーザーに明確に伝えることが重要と考えた。

 

また、同年で第53回となる「旭川家具木工祭」は、「旭川家具産地展」と改称した。産地としての魅力を明確に伝えたいという思いからだ。ケルンメッセに出品した作品も展示し、旭川家具の近年の動きがわかるよう構成した。

 

平成18年、香川県で開催された技能五輪全国大会では、若き家具職人、庄司卓磨さん(20)が金メダルに輝いた。旭川地域からの入賞者数は過去最高、これまでのものづくりの実績が人づくりとして結実していた。

 

今年6月には、「国際家具デザインフェア旭川2008」のイベントが行われる。今年も新たな作品が私たちの目を、心を楽しませてくれるだろう。旭川家具の挑戦はつづく。


作り手が心を一つにすることによって生産地の力を強めたい。様々な取組を継続し、攻めの姿勢で旭川家具のブランド力を向上させたい。生産者が一体となり、消費者と連携することによって地域経済の活性化を図りたい。



Eye
日本国内の家庭用家具市場は、バブル崩壊以降、ほぼ一貫して縮小傾向にある。その中で、過去の実績に捕らわれず、地域が一体となって、新たな挑戦に向かっている点が注目される。日本の代表的な家具産地でありながら、現状を直視し、常に新しい感覚を吸収している姿勢は、「デザイン」本来の有り様を示すとともに、そのまま地域経済のデザインといえるかも知れない。。

 

(この頁は中尾が担当しました。h20.5.2)