検討評価調書【概要版】(カムイ・ジャンボリー高原開発事業(「道民の森」民間活力導入事業))

1 民間活力導入事業の主な背景、契機及び経過について
  昭和60年   国際森林年
  昭和61年   道が「道民の森構想計画」を策定、「民活法」制定
  昭和62年   道が「道民の森」施設整備に着手、「リゾート法」制定
            (当別町及び月形町の道有林(11,434ha))
  平成元年    道が「道民の森基本計画」策定
            (民間活力を導入し施設水準の向上を図る方針を明記)
       7月   道が札幌市で「民間活力導入企業説明会」を開催
      10月   (株)前川製作所が参入を表明
  平成元年・2年 道が「道民の森民活導入推進委員会」を設置(民活導入施設の内容や
    開発手法のあり方など検討)
  平成3年10月 事業者からの「北海道ゴルフ場開発の規制に関する要綱」に基づく事前
   協議書を受理
  平成6年 2月 事業者からの「道環境影響評価条例」に基づく環境影響評価書を受理
  平成7年 1月 「北海道環境影響評価審議会」の答申を受け、知事の審査意見書(「特
   に意見はない。」)を公表
  平成8年10月 「市民連絡会」等から民活計画に反対する知事あて請願書等の提出
  平成9年 8月 「時のアセスメント」制度に「道民の森」民活事業が対象
 
2 事業計画の概要について
  スキー場、ゴルフ場等通年型の総合スポーツ・レクリエーション施設の整備

施設名

内容

事業費

エリア面積(ha)

ゴルフ場

18ホール

25億円

129

スキー場

9コース

47億円

269

その他施設

教育・文化施設

35億円

178

107億円

576

3 法令に基づく許認可手続きについて

許認可(手続き)

手続きの状況

備考

環境影響評価(環境アセスメント)

終了

3項目の附帯意見あり、調査等完了

道ゴルフ場開発の規制に関する要綱

継続

 

水源かん養保安林の解除

国と事前協議中

反対団体との合意が必要

4 当別町の動向及び周辺自治体の意向について

区分

動向及び意向

当別町

地場産業の振興、地元消費の拡大、雇用の創出など大きな地域振興上の効果を期待し、受入れ準備を推進               

札幌市

議会で「水源上流でのゴルフ場開発は基本的に好ましくない。」との見解を表明

石狩市

議会で「ゴルフ場開発は石狩西部圏の重要な水道水源にとって好ましくない。」との見解を表明

5 推進・反対団体の動向について

推進団体

開発期成会・当別町地域振興推進の会→事業計画の推進の要望

反対団体

(社)北海道自然保護協会・市民連絡会→廃止、反対、見直し等の意市民ネットワーク北海道等見書等を提出

第2 「カムイ・ジャンボリー高原開発事業」に対する再評価

入り込み数の予想 ((社)北海道開発問題研究調査会)

区分

事業計画書(H7.1)

経済効果等調査(H10.1)

ゴルフ場

3.0万人

2.5万人

スキー場

30万人

24万人

1 事業計画の必要性及び効果について

  • 「道民の森」全体の施設水準の向上を図る上で有する必要性は、従来と変わりがない。
  • 近年のスポーツ・レクリエーション施設を取り巻く経営環境の厳しさから、事業計画の入り込み見込み数の実現は、難しいものと判断される。
  • 地元の当別町に対する相応の経済効果、所得波及効果はあるものと考えられる。
  • 事業計画は有力な地域雇用対策となり得ると期待されている。

2 事業計画の妥当性等について

  • 自然環境の保全に配慮するなど開発コンセプトや事業者の姿勢は評価されるべきものがある。
  • 計画策定時と今日とでは、経営環境を示す社会的、経済的指標に変化が見られ、経営見通しは厳しいものがあると考えられる
  • 自然、生活環境の保全に対する道民の意識は、計画策定時より明らかに高まっており、事業計画の環境面での新たな判断も求められている。

3 事業関係者や住民等の意向について

  • 公聴会等により事業関係者や地域住民、学識経験者の意見の把握に努めた。
    (平成9年11月から平成10年2月に実施、9団体88名を対象)

意見聴取の対象者

事業関係者

9団体

地域住民

56名

学識経験者

32名

↓面会・文書・公聴会  

意見聴取の結果

推進

6団体 9名

反対・見直し

3団体 76名

その他

3名

第3 「カムイ・ジャンボリー高原開発事業」を継続する場合及び中止した場合の影響と対処方法

1 継続する場合
(1)影響  
ア 事業者→環境保全に関する一層の配慮や採算性の確保などの上で、事業計画の見直しが課題
イ 反対団体→反対運動の激化が予想
(2)対処方法
ア 事業者→環境面や経営収支面での事業計画の見直しについて指導
イ 反対団体→事業推進についての理解を求めるなど粘り強く対応

2 中止する場合
(1)影響  
ア 地元自治体→ゴルフ場対象地の町営牧野の土地売却代金を見込んでいた町財政やダム上流部の地域振興対策に影響が出ると予想
イ 事業者→環境アセスメントの作成経費の損失
(2)対処方法
ア 地元自治体→町財政への影響の軽減や地域振興対策の措置が必要
イ 事業者→事業者が要した経費についての協議が必要

第4 所管部としての考え方

1 本事業計画は、「道民の森」の利用促進や地域経済に与える効果、自然環境の保全に配慮した事業者の取り組み姿勢など、事業の必要性・妥当性から判断して評価すべき面がある。

2 一方、本事業計画地が水道水源上流部に位置するという特異な立地条件にあるなかで、将来にわたる健康・安全性への志向、緑豊かな自然環境の保全などを重視する道民意識がかつてない高まりを見せていることや、計画策定後の社会経済情勢の変化に伴い今後の本事業の経営見通しに相当厳しいものがあること等を考慮して、本事業計画を中止すべきとする意見が強い。

 以上のようなことから、今後の本事業計画については、その必要性・妥当性に評価すべき面もあるものの、地域住民や学識経験者からの意見聴取結果にうかがわれるように生活・自然環境保全に対する道民意識の変化や、バブル経済期を経て長期的な景気低迷状況にある今日の社会経済情勢の変化などを総合的に勘案し、民間事業者や地元自治体への対応にも配慮しつつ、判断する必要があるものと考える。

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