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ホーム > 総合政策部 > 地域創生局地域戦略課 >  北海道創生ジャーナル「創る」第4号 大樹町宇宙のまちづくり-宇宙町長に聞く


最終更新日:2017年10月06日(金)

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地域が動く・プロジェクト最前線

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 -近年、天気予報に欠かせない気象衛星やGPSなど衛星を活用した通信・放送サービス産業が拡大しています。多数の衛星で相互に通信を行いながら広範囲を観測するコンステレーション方式の普及により打上げられる衛星の数は増加の一途をたどっています。今、宇宙産業で熱望されているのは、衛星を宇宙に運ぶ手段。従来の大型ロケットへの相乗りではなく、顧客のタイミングに合わせて柔軟に打上げが出来る「小型ロケット」とその「射場」です。日本では昨年、民間事業者による宇宙活用の拡大を促す宇宙関連二法が制定されました。北海道大樹町に新射場を整備した場合の道内経済波及効果は年間267億円(北海道経済連合会推計)とされています。   

 今回編集部では、長年宇宙のまちづくりに取組む大樹町のプロジェクトを取材してきました。

取材者 地域戦略課 日野石、高野・地域政策課 大門


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 昭和59年、北海道東北開発公庫(現日本政策投資銀行)は北海道大規模航空宇宙産業基地構想を発表。それを受けて大樹町では昭和60年に宇宙産業基地誘致活動を開始しました。それから30年間宇宙のまちづくりを進めてきた大樹町。歴代の町長は親しみを込めて「宇宙町長」と呼ばれています。



宇宙町長に聞く〔1〕 伏見 悦夫氏

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宇宙のまちづくりの始まり

 約30年前の大樹町にとってロケットの打上げは遠い世界の話でした。そのため、当時の町長から「宇宙産業基地を誘致する」と言われた時は困惑しました。しかし、その後色々と勉強し、世界の宇宙産業の拠点を視察させてもらう内にどんどんのめり込んでいきました。視察先の一つだったアメリカの都市ハンツビルは、もともと人口8千人ほどの街でしたが、宇宙の実験場が来ただけで巨大な施設や工科大学ができ、知的水準が高くなりました。これは将来的に大樹町も「もしかしたらひょっとするぞ」と夢が膨らみました。   

 歴代の町長と一緒に当時の科学技術省や、NASDA(後にJAXAに統合)に伺いましたが、最初は全く相手にされませんでした。何度も何度も足を運ぶうちに、少しずつ顔馴染みになり、情報を教えてもらえるようになりました。


住民の反応

 他の都市では地元の理解に苦労していることもあります。もちろん大樹でも最初のころは「うまくいくわけない」「漁業がだめになる」という人もいましたが、初めから多くのロケットが大樹に来るわけではないし、長い期間をかけた取組も必要だと、少しずつ説明して理解してもらいました。さらに、地元漁業関係者に色んな会議に参加してもらったり、地域を巻き込んだ取組を行っているうちに理解をいただき、応援していただける人が増えていきました。

大樹にかける夢

 夢は大樹町がハンツビルのような街になること。初めてハンツビルを視察した後、夢をしたためたメモがあります。そのメモには、25年後、「大樹町は大樹市になっている」「大樹に指令塔・発射場・実験場全て備わっている」「周辺の空港・鉄道・道路が充実し、人流・物流が活発化」「研究機関が増えて、人口が倍増」「学園都市が形成され知的水準が上昇」と描いた夢をそのまま綴ってあります。 

 今、大樹で育っている子ども達にとっては、以前の子ども達よりずっと宇宙が身近になっています。昔はロケットの絵ばかりだったスペースイラストコンテストの作品も、最近では宇宙でドライブしたり酪農する様子だったりと、宇宙と生活が密着してきています。あの時のメモに描いた夢の姿に少しずつ近づいている気がしています。


宇宙町長に聞く〔2〕 酒森 正人氏

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宇宙のまちづくり

 大樹町では『宇宙のまちづくり』を総合戦略の施策の一つとして掲げており、関連事業の企業誘致とそれに伴う雇用創出に向け取り組んでいます。

 直近で、成功した企業誘致がインターステラテクノロジズ(株)(以下IST)です。14名ほどの社員の方がいて、家族で大樹町に暮らしている方もいます。現在はIST単独でロケットを造っていますが、今後、部品造りなどを担う子会社が増えていく可能性もあり、宇宙関連産業の集積という面でも大いに期待しています。

 町では空き家を活用したテレワークの推進も行っており、多くの企業を対象にした9月のモニターツアーには、すでに宇宙関連企業もエントリーされています。

  

ロケット打上げと周りの理解   

 ロケットの打上げには、周辺住民や関係機関の方々の理解が欠かせません。特に漁業関係者の方々にとっては打上げ中、対象海域に船を出せなくなるため死活問題になります。今年7月末のロケット打上げ前には、影響のある周辺漁協に説明に伺ったのですが、最後には「30年やってきているもんな」と納得していただけました。長年の取組がここでも生きているのが本当にありがたいです。   

 実際の打上げ日には、延べ4300人の方々がロケット打上げを観るために来場されました。これによる経済効果は大樹町だけでなく、周辺市町村にも及んだようです。大樹町としては仮設トイレ・駐車場の整備で補正予算を組み対応しましたが、全局のメディアが取り上げてくれたことで宣伝効果・費用対効果は計り知れないものがあったと思います。

  

新たな射場候補地、大樹町   

 30年かけてここまで来ました。大樹町が長年宇宙産業誘致に取り組み、国が新たな射場を検討し、民間が宇宙産業に参入してきました。H-2Aなど、国家レベルのロケットは、今まで同様、種子島・内之浦(いずれも鹿児島)で打上げていくべきだと思いますが、今求められているのは民間ロケットのための新たな射場。この役割を大樹町が担っていきたいと考えています。射場の整備・運営主体をどうするかという課題がまだ残っていますが、宇宙活動法に基づく新たな認定射場の申請受付開始後は、早い段階で申請できるようにしていきたいです。


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