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最終更新日:2006年2月17日(金)


H13外部監査概要(農業開発公社)


包括外部監査の結果に関する報告(概要)
平成14年3月29日 
 
 
Ⅰ 包括外部監査人
   公認会計士 籏本 道男
 
 
Ⅱ 監査の対象としたテーマ
   「財団法人北海道農業開発公社及びこれに係る北海道の財務」
 
 
Ⅲ テーマを選定した理由と監査の要点
 1 テーマ選定の理由







 
 財団法人北海道農業開発公社(以下「公社」という。)は、北海道の農業振興と農業経営の発展向上等に資するため、農業経営規模の拡大や生産性の向上、農村の整備開発等に係る諸事業を総合的に推進し、もって北海道農業の近代化を図ることを目的に設立された財団法人であり、北海道は同公社に基本財産の39.5%を出捐しているほか、平成12年度には補助金等として約140億円以上を交付している。
 農業は、北海道の基幹産業の一つであり、同公社の事業の成否によっては、北海道農業の発展及び道財政に大きな影響を与えるおそれがあることから当該テーマを選定した。
 
 2 監査の要点
 (1) 公社




 
 平成12年度の財務諸表項目を対象に、証憑突合、固定資産実査等を実施したほか、補助金交付額算定の根拠となる補助対象経費の範囲の妥当性、複数事業に対する配賦計算の妥当性を検討した。
 また、補助対象経費以外の支出についても補助金受入団体として目的に適った支出がなされているかどうかを検討した。
 (2) 北海道

 
 補助金交付手続の妥当性を検討するとともに、公社の決算書等の開示状況について検討した。
 
 
Ⅳ 外部監査の結果
 1 総 評















 
 平成12年度の公社作成の財務諸表を中心に監査を行った結果、公社は民間企業の会計基準と公益法人の会計基準とをミックスしたものから毎期の決算書を作成することを意図しており、当該決算書には独自性が見られ、理解することが難しくなっている。そこで、公益法人会計基準に準拠した適正な計算書類の必要性及び改善すべき事項を記載した。
 次に、公社が行っている諸事業について事業実施手続の検討を行ったところ、農業経営活性化特別対策事業(特別会計)、農用地開発整備事業及び畜産振興事業について、それぞれ改善すべき事項が見られた。
 また、経費等の支出について、補助金受入団体として目的に適った支出がなされているか否かについて検討を行った結果、主に業務推進費及び調査研究費等の支出の一部に改善すべき事項が見られた。
 なお、公社の全般的な運営状況については、特に問題は見受けられず、事務処理状況についても適切である。
 他方、北海道を対象として、補助金交付手続の妥当性及び公社の決算書等の開示状況を検討したところ、決算書等の議会への提出について改善すべき事項として記載した。
 
 2 公社に関する事項
 (1) 財務諸表の修正
  ア 準拠すべき会計基準










 
 公社の会計処理は、企業会計原則と公益法人会計基準の両者に準拠して処理することとなっているが、両基準の要請を同時に満たす決算書を作成することは不可能である。
 公社は公益法人であるので、主務官庁から特別の法令で定められた会計基準等を示されていない場合、基本的には公益法人会計基準に準拠する必要がある。
 公社作成の財務諸表と包括外部監査人が公益法人会計基準に準拠して作成した計算書類とを比較すると、事業収入は32,545百万円ではなく23,349百万円に、資産合計は96,432百万円ではなく89,516百万円に、正味財産は4,580百万円ではなく15,159百万円になる。
 今後は公益法人会計基準に準拠して、収支予算書、会計帳簿及び計算書類を作成する必要がある。
  イ 内部取引の消去


 
 公社内の事業相互間の内部取引に関し、収入及び支出がそれぞれ6,836百万円両建で計上されている。公社の収支規模等を適正に表示するため、決算書を作成するにあたって内部取引額を消去する必要がある。
  ウ 繰延資産の貸借対照表計上の妥当性




 
 特別会計に繰延資産として計上されている地域活性化交付資金(743百万円)は、農業協同組合の固定化債権を貸倒処理するために、地域農業活性化基金より農協に交付した資金を資産計上したものであり、繰延資産には該当しないので、貸借対照表に計上すべき性格のものではなく、農協への交付時に「交付金支出」として処理すべきであった。
  エ 資金勘定、引当金及び準備金


 
 貸借対照表の固定負債の部の資金勘定(預り金)、引当金及び準備金の合計20,814百万円のうち10,522百万円については、負債性がないので、正味財産として処理する必要がある。
  オ 退職給与引当金

 
 公社の退職給与規程に対し182百万円多く引き当てられているので、修正する必要がある。
  カ 工事補償引当金



 
 工事に係る補償に備えるため平成12年度末で916百万円計上しているが、工事高の一定割合以内の任意の金額を計上することとしており、合理的な基準とは認められないので、過去5年間の補修実績率を用いて算出する等合理的な基準を検討する必要がある。
 
 (2) 事業実施手続
  ア 農業経営活性化特別対策事業(特別会計)









 
 本事業は、農地保有合理化事業を利用することにより、離農希望農家の円滑な離農を促し、専業農家への農地流動化促進と優良農地の有効活用による地域農業の活性化を図ろうとするものであり、債権整理対策については農地流動化対策に付随するものであるが、農協サイドから見ると固定化債権の4倍相当額を公社の地域農業活性化基金に拠出し、この基金の運用収入により、回収不能債権を処理するものである。
 平成14年4月にペイオフ解禁が予定され、農協では自己責任による回収不能債権の処理が求められており、関係機関と検討の結果、平成13年度から新たな引受けは行わないこととされているが、貸借対照表に計上されている運用預け金及び資金の取扱いについて、関係機関と協議する必要がある。
  イ 農用地開発整備事業
   ① 原価計算の実施について





 
 直接原価については原価計算が実施されているが、間接原価については支所別の発生額が認識されているのみである。現状では、受注した工事毎に損益を把握できないため、今後は適切な配賦基準を定め、間接原価についても配賦計算を実施する必要があるほか、更に言えば、直営事業と受託事業の原価は適正に区分計算されなければならないため、間接原価を含めて原価計算する必要がある。
   ② 土層改良事業費の内容について



 
 土層改良事業費には前年度以前に実施した草地開発事業等における補修工事が含まれているが、工事補償引当金に対応した補修工事に係る費用はまず、当該引当金を充当するとともに、当該引当金を超える額は、土層改良事業費と区別し「過年度手直し工事支出」等の科目に計上する必要がある。
   ③ 受託事業収入(調査収入)に係る代金回収手続について


 
 調査収入に係る代金回収に関し、遅延利息が発生しないよう請求書の日付けを書き換えている事例等があったので、請求書発行日等のチェック体制を整備する必要がある。
  ウ 畜産振興事業
   ① 棚卸資産と固定資産の区分について


 
 公社で管理している牛は、棚卸資産の「育成牛」と固定資産の「肉用牛」に区分されているが、育成牛の中に販売目的ではない繁殖用の和牛が含まれているため、これらの牛は固定資産に計上し減価償却を行う必要がある。
   ② 棚卸資産の評価について


 
 育成牛について、原価でも時価でもない任意の棚卸価格を用いて決算を行っているので、改善する必要がある。また、税法上の評価方法の変更に伴い、「決算処理要領」を改正する必要がある。
   ③ 棚卸原価の計算について

 
 育成牛のうち繁殖用で固定資産に計上されるべき牛の育成費については、棚卸原価に按分してはならない。
   ④ 時価及び個別法の適用について

 
 時価適用にあたっては、各月齢の頭数で加重平均した平均時価を用いており、個別法となっていないので、1頭毎に時価と原価を比較する必要がある。
   ⑤ 乳肉用牛育成事業の黒字化について

 
 乳肉用牛育成事業は収益事業として税務申告を行っているが、過去10事業年度のうち7事業年度で赤字であり、黒字化に向けた検討が必要である。
 
 (3) その他の会計処理
  ア 業務推進費







 
① 業務推進費のうち指導連絡費用として支出された中に、指導連絡費用とは判断しがたい懇親費用が含まれている。内部懇親の場合の支出が業務推進費として認められる範囲を明確にする必要がある。
② 支出決定書において出席者の相手先が関係者等と記載されているが、実際には外部の関係者が同席することなく開催されているものがあるので、承認体制の改善が必要である。
③ 業務推進費の支出決定にあたり、事後承認が容認されているので、今後は緊急の場合を除き事前承認を徹底すべきである。
  イ 調査研究費

 
 調査研究費に嘱託職員2名に対する人件費が含まれている。支給及び処理勘定科目の適否について検討する必要がある。
  ウ 従業員貸付金


 
 「厚生資金貸付細則」による貸付金の返済期間(48ヶ月以内)を超えた貸付が2件ある。貸付時及び貸付条件変更時に十分確認するとともに、適切な承認手続を設定する必要がある。
  エ 保有農用地整備資金運用預け金の必要性




 
 貸借対照表では、特定の財産を運用資産として区分して管理しているが、保有農用地整備資金運用預け金については、その目的となる公社保有地に係る農用地整備費がこの5年間発生しておらず、また、今後の発生も予想されないため、運用資産として区分して管理するのではなく、流動資産として運用財産に含めて管理すべきである。
  オ 委託先及び購入先の選定方法











 
 農用地開発事業の工事を施工するにあたり、一部の機械について外部からの借上げと労務作業の委託を行っているほか、工事に要する燃料や各種資材の購入、建設機械や業務連絡車両等の固定資産(リース資産を含む)の取得等を行っている。これらの取引は、公社の規定に基づき、入札等により委託先及び購入先を決定しているが、結果として委託先等が特定の4社に集中している。今後、更に有効かつ効率的な委託や購買が行われるよう、より幅広く取引相手方の選定方法を検討する必要がある。
 なお、甲社との取引に関し、リースについては、ほとんど見積り合せを実施することなく契約しているので、本所でまとめて見積り合せを行いリース先を決定するよう支出の効率性を追求するべきである。また、資材の購入にあたり複数の見積書の金額が同額の場合において、決裁書上明確な理由の記載もなく甲社と契約しているケースが散見されるので、その決定過程を文書として残す必要がある。
  カ 水田買入事業に係る特定預金



 
 流動資産の預金の中の水田買入事業に係る特定預金については、この事業が終了してから20年余りが経過し、特定目的の預金として設定し続ける必要性がなくなっているため、一般の定期預金にするとともに、その運用収入の取扱いについても別途検討すべきである。
  キ 資産管理


 
 固定資産の管理にあたっては、定期的な実査、全ての資産への台帳上の管理番号の付与、現物の保管場所と台帳上の管理場所の一致、倉庫への立ち入り制限及び在庫の入出庫担当者と台帳記帳等担当者の区別などの改善が必要である。
  ク ふん尿処理短期堆肥化処理施設



 
 ふん尿処理短期堆肥化処理の実験・調査を行うため、リース契約により施設を設置し、実験は平成10年度に終了したが、リース契約終了後も別の用途に使用されている。当初の目的で使用しなくなった機械等の処分については、速やかにリース契約先と協議の上、手続を進める必要がある。
  ケ 更新牛対策資金の設定目的の変更



 
 更新牛対策資金は、平成7年度に事業が終了したが、目的を変更し存続している。設定目的が終了した場合には、速やかに適切な承認手続を経て取り崩し、新たな目的で設定することが必要な場合は、改めて、必要額を設定し直す必要がある。
 
 3 北海道に関する事項


 
 北海道は公社の基本金等の1/2以上の額を損失補償しているので、地方自治法第243条の3第2項の規定に基づき、公社の経営状況を説明する書類を議会に提出する必要がある。
 
 
Ⅴ 報告に添えて提出する意見
 1 公社における「内部留保」の妥当性



 
 公社の内部留保は、公益法人の「指導監督基準運用指針」に定められた目安である30%以下となっており、この限りでは特に問題はないと考えられるが、今後、内部留保額の増加又は事業規模の縮小により、当該比率が高まっていくような場合には、多額の内部留保を解消するための諸施策を検討する必要がある。
 
 2 公社における農地流動化対策事業








 
 農地流動化対策事業における農用地の売渡価格は、経営転換タイプ以外の事業については原則として買入価格とされ、また、経営転換タイプの事業については農用地価格下落による損失の一定割合が、(社)全国農用地保有合理化協会から補填されることが制度化されており、現行制度を前提とする限りは、農用地の価格下落により公社に損失が生じる可能性は乏しいといえる。
 しかし、農業を取り巻く外部環境は極めて厳しい状況にあり、公社が中間保有する農用地及びこれに対応する借入金残高は増加している点、また、当該借入金の大部分を北海道が損失補償している事実に鑑みて、公社の農用地及び事業借入金の残高の推移と併せ、農用地の価格動向についても注視していく必要がある。
 
 3 公社における職員預り金


 
 社内預金に該当する職員預り金について、利率は高い水準に据え置かれており、社内預金利率を上回る運用は、現在の経済環境では明らかに難しく、少なくとも利率の引下げを検討すべきである。