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最終更新日:2006年2月17日(金)


H12外部監査概要(住宅供給公社)


包括外部監査の結果に関する報告(概要)
 
平成13年1月9日
 
Ⅰ  監査の対象とした特定の事件(監査のテーマ)
   「北海道住宅供給公社及びこれに係る北海道の財務」
 
 
Ⅱ 特定の事件(監査テーマ)として選定した背景と監査の視点























 
1 テーマ選定の背景
(1) 北海道住宅供給公社は、地方住宅供給公社法に基づき、北海道から、基本金の80%の出資を受けて設立された特別法人であり、平成12年3月末現在で、無利子融資を含めて道から269億円余りの融資を受けるなど、道との関係が深く、道の財政負担が大きいこと。
(2) 公社が保有している長期保有地の含み損の問題等が、議会でも議論されており、道民の関心が高いこと。
(3) 平成11年6月に改定された「経営改善計画」及びその実効性の向上を図るため平成11年11月に策定された「10か年経営方針」及び「5か年事業計画」が妥当なものであるのか、また、その遂行が的確に行われているのか等について外部の第三者の目で監査を行う意義があると判断したことなど。
 
2 監査の視点
(1) 議会・マスコミ等で話題になっている長期保有地の含み損約344億円の内容が正しいのか。これ以外に公社の資産内容に不良資産等がないのかどうか。
(2) 地方住宅供給公社法に基づき実施している事業は、今日の成熟した住宅市場において、公的機関としての役割を果たしているのか、また、今後とも継続して実施する意義があるのかどうか。
(3) 公社の平成12年3月末現在の借入金は道からの269億円余りの巨額な融資を含めて1,397億円であるが、返済が可能なのかどうか。返済原資があるのかどうか。
(4) 平成11年6月に改定された「経営改善計画」は実現可能で妥当なものかどうか。
(5) 公社の会計処理は、「地方住宅供給公社会計基準」及び「北海道住宅供給公社会計規程」等に準拠し、公社の損益及び財政状態を適正に反映しているのかどうか。
(6) 公社の事業の運営及び管理は、地方住宅供給公社法等にしたがって、適切になされているか、また、「住民福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果をあげるべき原則」と「組織及び運営の合理化に努めるべき原則」に則り、経済性及び効率性に基づいて経営されているかどうか。
 
 
Ⅲ 監査結果及び改善意見












































































































 
1 監査結果の総括
 地価が下落した後も、費用超過額(=費用-収入)を資産計上し続け、含み損を累増させている。このため、企業会計の物差しでみると、公社は多額の債務超過状態にあり、最近においては、道や関係市町から新たな資金支援を受けて経営しており、自力のみで経営することは困難な状況にある。このような会計処理を続けると、今後さらに、返済財源のない借入金が膨らむだけであり、現状でも厳しい民間金融機関からの資金調達は今後極めて困難となる。当面は膨らみ続ける長期保有地等に係る債務の増加を抑制するなどの対応が急務であるが、併せて早急に抜本的に公社事業及び会計処理等の業務のあり方について検討され、さらには存在意義を含めた今後の公社のあり方について再検討されることを提案する。
 
2 企業会計からみた公社の貸借対照表 ~公社の債務超過は約460億円~
 著しく時価が下落している資産の評価損失は合計約479億円の修正。この額から資本計上額約18億円を除いた約460億円が債務超過となっている。
   修正額 ・土地費及び造成費            約364億円
       ・分譲資産                 約7億円
       ・賃貸宅地                 約38億円
       ・不良滞留債権に対する償却・引当見積額   約45億円
       ・その他の資産等              約14億円
       ・退職給与引当金の引当不足         約11億円
       ・合計                  約479億円
 
3 長期保有地の含み損 ~公社が鑑定評価額をもとに公表している344億円を上回る約364億円~
 長期保有5団地及び継続3団地について、公社が公表している含み損は344億円であるが、公社より提出された資料を基に個別に検討した結果は約364億円である。
 
4 借入金の状況と新規資金の調達
 公社の借入金は、平成12年3月末現在で1,397億円であり、総資産の97.1%に達している。含み損の増加など資産内容の悪化により、返済財源のない借入金が増加しているため、道からの269億円を含め借入金の返済は難しい。また、民間金融機関からの新たな資金調達は極めて困難な状況にある。
 
5 理事会運営の実態
 理事会は形骸化しており、公社の現状から判断して役職員の現状認識は不充分で、道への依存体質が強く、管理体制にも問題が多い。現状認識を正しくして、自己責任体制を早急に確立すべきである。特に、金融機関へ公社の多額な優良資産を担保提供しているにもかかわらず、情報開示していない。
 
6 地方住宅供給公社会計基準等への準拠性に欠けた会計処理
(1) 造成済の分譲宅地を、分譲資産に振替えないで、借入金利及び公租公課を簿価加算し、含み損を増加させて損失の先送り
(2) 分譲事務費の簿価加算と売却収入を簿価減算する会計処理
 売却時に損失として処理しなければならない損失が含み損として残る会計処理となっている。
(3) 地上権分譲方式による底地にかかる利息等を「その他固定資産」に計上し、損失の先送りしているほか、借地権付分譲資産底地(ラポール桑園駅前等の賃貸土地)は、多額の含み損失となっている
(4) 地下鉄操車場屋上にある袋地の変則地上権の利用法
 買い取り要請するなど早急に解決を図るべき。
(5) 多額の不良債権が未償却
 全く回収見込みのないもので直接償却すべきもの    306,901千円
 貸倒引当金を設定すべきもの            4,152,455千円
(6) 不良債権の未収利息計上
 後に処理しなければならない不良債権の金額を増加させる結果となり、妥当性を欠く
(7) 共同聴視施設寄託金の管理 ~財団法人北海道住宅協会との関係~
 当該寄託金残高について、住宅協会が資金運用している金融機関の残高証明書の提出を求めたところ、一部の残高証明書の記載が改竄され寄託金の一部が横領されていたことが判明した。
(8) 不適切なサービス工事等で問題となった2つの分譲マンション
   ~ラポール桑園駅前及び伏見サンタウン~
 両物件で今後発生が見込まれる損失見込額は、1,475,688千円
(9) その他の不適切な会計処理の事例
① 自己競落・任意売買により、取得した担保物件の会計処理
② 販売により回収が見込めない用地費などを土地費及び造成費勘定に残す会計処理
③ 開発費の会計処理
 ア シニア住宅供給推進事業
  今後事業化の見込みがないため一時償却すべきである。
 イ 南の里開発事業
  ハイメックス関連の費用負担を契約書等であらかじめ明確に取り決めないまま支出したものであり、現時点では資産性がない。
④ 繰延資産の会計処理
 販売損失を繰延資産として4年間で償却している。不適切な会計処理であり、一時償却すべきである。
⑤ その他
・過年度に費用処理すべき仕入消費税→費用に振替もれであるため資産性はない。
・過去の訴訟費用の会計処理→既に解決された訴訟事件に関する費用が残置しており費用処理すべき。
・その他の資産の会計処理→連帯保証人である更生会社に請求していたが、更生債権となっていないため回収可能性がない。
(10) 引当金の会計処理
 計上額に過不足が生じている。
(11) 退職給与引当金の計上不足(1,086,957千円)
① 損益状況に応じて、残高基準を頻繁に変更している
② 役員・職員・嘱託職員別に退職給与引当金を算定していない
(12) その他
① 原価未精算勘定の会計処理
 ラポール真駒内南町第2(平成9年7月完成)に係わる原価40,208千円を、団地間調整として他の物件の原価に付替えを行う予定である。企業会計上は損失処理すべきものである。
② 長期借入金の表示→長期及び短期の区分は、貸借対照表日を基準にすべき
③ 未払利息の計上もれ→77,687千円
 
7 賃貸事業は不採算のため借入金を増加させている
 空家及び空き室率の改善などが必要である。また、賃貸資産に係る借入金108億円のうち71億円は短期借入金で調達しており財務的には不健全である。長期借入金の約定返済は難しく、短期借入金への借換により凌いでいる。
 
8 採算性の低い長期割賦事業も短期資金で運営
(1) 平成11年度の長期割賦事業の収支状況
 短期借入金の金利レートが低いため救われているが、金利が上昇すると粗利益段階でも利益確保が困難な状況である。管理部収納課で発生するコストや貸倒れに係るコストを吸収できる水準ではない。割賦債権については、回収可能性の全くない債権の償却も行われておらず、貸倒引当金の設定もごく一部を除き行われていない。
(2) 公共特定分譲住宅の建設資金も短期資金で調達し不安定な状況
 平成9年度以降は、長期の事業資金である割賦資金が長期借入金では調達できず、短期借入金で調達されている異常な状況にある。
(3) 長期割賦事業の在り方について検討を ~長期割賦金の回収不安と回収コストについて~
 地方自治体等に対する割賦債権を除いて回収遅延等が極めて多く、回収コストも高い。公社割賦金制度についての見直しが必要である。
 
9 多くの売れ残り分譲マンション及び建売住宅~物件価値が減少~
 譲渡価額の変更は行われておらず、当初の販売価額が据え置かれたままである。民間では考えられない硬直化した販売方式である。売れ残りによる維持管理費等の負担と値引きによる損失を比較のうえ、市場動向等に応じ弾力的に価額改定し早期完売を図るべきと考えられる。
 
 
Ⅳ 包括外部監査の結果に関する報告に添えて提出する参考意見






































 
1 経営改善計画に対する意見
(1) 改定改善計画に対する参考意見の総括
① 改定改善計画では、現行の会計処理を前提として販売損失を後年時まで繰り延べるとともに保有地金利、公租公課及び分譲事務費の簿価加算を続けることとしていることから、長期保有地の簿価に占める含み損の割合がさらに増加する。このため、資産の処分が進むと、結果として、返済財源のない借入金の割合が増加し、さらにはその利息の支払が増加するという悪循環が発生する。公社の長期保有地の含み損は20年間に19,450百万円増加するので、仮に特別償却を18,671百万円実施したとしても、ほとんど減少しない。今後は、保有地金利等の増加をできる限り減少させるために、長期保有地の早期処分を進める方策や支払利息の簿価加算を抑制する方策を検討し、計画に反映すべきである。
② 損益計算書では64千円の当期純利益が発生しているが、実質債務超過の状態であり、長期保有地等の処分は伸び悩み、資金不足の状況にある。また、事務費収入により含み損を解消することは困難であることや新規事業を行うための借入金の調達にも苦慮している実態であることからも、自助努力で再建が可能であるか、あるいは設立団体である道の指導の下に再建を図るべきか決断すべきである。改定改善計画は現行の会計処理を前提として作成されていることから、不適切な会計処理を見直す必要があると考えられるが、これに伴い計画のあり方そのものが問われることになる。まず、公社のあり方ないし存在意義を明らかにすることが先決である。その後すべての資産について実在性及び回収可能性を検討し、さらに負債については網羅性を検討することにより、債務超過の状態にある公社の財務内容を的確に把握、これを開示する必要があり、それに基づいて道をはじめとする公共団体、公社、金融機関等のそれぞれの役割を明確にして、今後の公社の改善プログラムを策定すべきである。
 
2 北広島市南の里「ハイメックス事業予定地」について
 この用地は、過去一部道路用地として売却があったものの、具体的な開発行為の着手はなく、金利・事務費等の簿価加算が行われ、現在に至っている。平成7年に 道は、公社保有地の簿価抑制を図るために129億円(平成7年7月までの簿価相当額)の無利子貸付を実施し、その後平成11年3月にこの用地については「道民共通の財産として保全し、自然環境の維持保全に配慮した道民の利用に供する」とする対応方針を決定している。当面は簿価抑制のための貸付を継続する必要があるが、早急にその方針を具体化し、計画に反映すべきであろう。
 
3 財団法人 北海道住宅管理公社との統合について
 公社の財務内容は著しく悪化している。また、「改定経営改善計画」は、計画どおり遂行は極めて難しい。これらのことを勘案すると、公社と財団法人北海道住宅管理公社を平成14年4月に統合するとの計画は、混乱を招くことも予想されるので、当面見送りされてはどうかと考える。
 
4 地方住宅供給公社会計基準及び公社の会計基準についての意見
 現行の会計基準の見直しをして、公社の事業成果及び経営内容が正しく情報公開されるものに改善されることを要望する。現状では、経営状況及び財政状態が反映されない決算となっており、含み損の実態及び資金状況もわからないものとなっている。