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最終更新日:2006年2月17日(金)


H15外部監査概要(札幌医大)


包括外部監査の結果に関する報告(概要)
平成16年2月17日
 
 
Ⅰ 包括外部監査人
公認会計士 籏本 道男
 
Ⅱ 監査の対象としたテーマ
「札幌医科大学の財務事務及び経営管理」
 
Ⅲ テーマを選定した理由、監査の要点及び事業の概要
1 テーマ選定の理由
札幌医科大学は昭和25年に設置され、これまで多くの医療従事者を輩出するとともに、医学・保健医療の発展と本道における福祉の向上に寄与してきた。
同大学の附属病院については、特別会計を設け、毎年度一般会計からの繰出金を受け運営されているが、収入の確保と経費の節減により運営の効率化を図ることを目的に、平成10年度から「経営改善計画」に取り組んできている。
現在、国では、国立大学の独立行政法人化などによる大学改革、少子高齢化や医療費の増加に対応した医療制度改革が進められようとしており、附属病院を有する公立医科大学として、その経営に大きな影響が懸念されることから、札幌医科大学の財務事務と地方自治法第2条第14項及び第15項の趣旨を達成しているかについて監査を行うこととした。
 
2 監査の要点
札幌医科大学について、財務に関する事務の執行及び経営に関する事業の管理が法令、条例等に準拠して実施され、病院事業が常に経済性を発揮するとともに、その本来の公共の福祉を増進するよう運営されているか。また、将来とも適正な運営を維持していくことが可能か。
 
3 札幌医科大学の概要
札幌医科大学(以下「大学」という。)は、医学部と保健医療学部の2学部及び大学院を擁する医科系総合大学として、医療、保健、福祉の連携を担う人材を育成している。平成14年5月1日現在1,252名(医学部(大学院含む)781名、保健医療学部(大学院含む)471名)の学生が在籍しているほか、職員数(附属病院を含む)は1,502名となっている。附属病院の平成14年度患者延数は、769,115人(入院307,550人、外来461,565人)となっている。
 
Ⅳ 包括外部監査の結果
1 札幌医科大学・附属病院に共通の事項
(1)一般会計と特別会計区分の適正性について
①人件費負担の適正性について
1)教員の人件費について
医学部臨床医学部門及び附属病院の教員214名中61名の人件費が特別会計負担となっているが、基本的に全員が附属病院で診療業務を行っている状況を考えると、実態との乖離が生じている。教員の活動を研究と診療活動に明確に区分することは困難であるが、教職員個々の総稼働時間等を基に、各会計のあるべき人件費負担額を計算し、これに近くなるように各会計が負担する人員を決定することも考えられる。
2)事務局職員の人件費について
特別会計の業務を主としている職員や一般会計・特別会計の両方の業務を同程度行っている職員の人件費を全て一般会計の負担とすることは、実態が会計に反映されていない。将来的には共通的支出を計上する会計区分の設定を含めた大学全体の管理体制の改善が必要であるが、当面は、業務の従事割合をもとに按分計算することも検討すべきである。
②保育所の運営経費負担の適正性について
大学職員の子を預るために設けられている保育所の運営経費については、利用職員の実態から、一般会計よりも特別会計での負担が適切である。
 
人件費や保育所の負担区分の適正性を検討した結果、特別会計が負担すべきものを一般会計が負担している事例がみられる。会計上の区分変更による見かけ上の支出削減ではなく、真の支出削減を検討すべきである。
 
(2)備品購入負担の適正性と備品の管理状況について
備品については、一般会計と特別会計に分けて、購入と管理がなされているが、他の道立医療施設で使用している備品や診療部門から研究部門に使用を変更した備品については、移管処理を行うなど使用実態に合わせた管理が必要である。
 
(3)委託の状況について
 清掃業務委託費の検討
平成14年度の清掃業務委託において、病院等の清掃が杜撰にもかかわらず、委託料のほぼ全額が支払われている。一般競争入札が前提となる契約においては、この様な業務遂行能力のない業者への対応として、入札資格の厳格化、契約不履行の場合の委託料減額や業務履行状況の確認等を明確にする必要がある。また、本件のように多額の初期投資を必要とする委託業務については、複数年契約とすることにより入札価格の低下が見込まれる。経費の削減は重要なことではあるが、提供されるサービスの質が確保される仕組みを作る必要がある。
 
2 札幌医科大学に関する事項
(1)道民の負担と受益について
大学運営には多額の経費がかかっており、その大部分が道民負担(医学部学生1人当たり6年間で45,000千円)となっていることから、大学を卒業した医師は、道内に就職し地域医療に貢献することが求められる。他府県医科大学では、県内と県外出身者の入学金に差を設けている例もあるが、道においても、卒業後の数年間を北海道内の医療機関での勤務を条件にすることや、道内での勤務実態に応じて納めた学費の一部を返還する等の措置を検討すべきである。
 
(2)医局との財務的な関わりについて
大学の「講座」を中心とした任意団体である「医局」は、「教育・研究・診療」の分野において重要な役割を担っていることから、大学及び附属病院との財務的な関わりについて、以下のとおり調査を行った。
①行政財産の使用について
各医局等には、「札幌医科大学臨床医学研究奨励会」の研究補助員64名が執務しており、道は、大学の事務及び事業の執行に直接関連した業務を行っているという理由で、行政財産の使用を許可している。許可に際し徴収している加算料金の按分方法については、教員は医局室を通常執務に利用していないという実態を踏まえ、積算基準を見直す必要がある。また、医局では、事務に必要な備品の一部を独自予算で購入し、大学の備品と混在し使用している状況にあるが、これらの備品についても道財産として受け入れて管理することにより、道の会計に反映する必要がある。
②医局会計のディスクロージャーについて
奨励会には、道から「札幌医科大学医学学術研究交付金」として23,857千円が交付され、研究補助員の人件費の一部にあてられている。残りの人件費は、各医局が独自に集めた資金から支払われており、人件費負担の面からも二重構造となっている。
また、医局は、所属する医師の勤務スケジュールを実質的に管理しており、この機能により、民間病院に比較して、安い報酬で研究生等を雇用することが可能となっている。
さらに、教員研究費については、予算計上されている643百万円のほかに、826百万円の研究費があり、これが大学会計に反映されないという状況は、大学の財務状況を判断する上で重要な問題であるので改善が必要である。
このように、医局機能は大学運営に密接に関連し、重要な機能を担っているにもかかわらず、その活動が大学会計に反映されていない。医局の廃止を宣言したという状況において、今後は、大学運営に必要な部分は、大学に取り込み、活動内容を会計に反映させていくことが必要であり、また、正式に取り込まないとしても、医局の財務状況をディスクローズしていくことが求められる。
 
(3)授業料の減免について
経済的困窮者を対象に設けている授業料の減免制度については、予算配分方式をとっているため、前の半期の減免対象者が、次の半期には減免が受けられなくなるという不合理が生じていることから、予算配分形式に加え、絶対評価的な減免措置の考え方を取り入れる工夫が必要である。
 
 附属病院に関する事項
(1)収支の不均衡について
附属病院の収支改善には、余剰人員の把握と整理という重要な問題をはらんでおり、大学との関係も踏まえて、抜本的な改革が必要である。しかし、職員が地方公務員として身分保障を受けている現行制度では、改善に限界があるといえる。
 
(2)個別の問題について
①一般会計からの繰入基準について
附属病院の経営改善に当たっては、一般会計からの繰入金が問題とされているが、病院と大学が機能的にも一体化し、相互不可分な組織である中で、今問題とされるべきは、附属病院を含む大学の経営が効率化されることであり、そのためには附属病院特別会計だけをディスクローズするのではなく、一般会計を含めた単位で、適正な運営管理のあり方を考える必要がある。
②病床利用率の向上
1)診療科別許可病床数の適正配置問題
診療科別に配分された現行の病床数を、病床利用率が高く、入院待ち患者数の多い診療科へ多く配分するなどの見直しを早期に実施すべきである。
2)入院待ち患者数の適時把握の問題
入院待ち患者数の把握等、経営上の基礎数値の入手や加工を行うことは重要であり、パソコン等を有効に活用して管理すべきである。
病床利用率の向上は、目標指標としての利用が望まれ、目標を下回った場合、原因を分析し、改善策にフィードバックする仕組みが必要である。現行の制度ではこのような仕組みを作ることは難しいため、新たな枠組みでの管理を検討する必要がある。
③業務の外注化
調理、洗浄滅菌などの業務を外部委託した場合、約4億円強の削減が可能と試算されるが、職員の職務換や配置換、定年退職等による職員数の削減がなければ、外注化による収支の抜本的な改善は不可能である。
④外部委託業務の契約価格について
外部委託先の選定において、民間企業では、価格の逓減には必ずしも大きく寄与しないことから、一般競争入札などは行われていない。一方、官庁では、価格の逓減に不完全な制度であっても、導入しない場合と比較し、価格が下がるという過渡的な要因のため入札制度が取られている。この点、単年度予算や過度の公平性重視は、コスト削減という観点からは、使いにくい制度であり、現状においては改善に限界がある。
⑤経営計画について
附属病院については、平成15年から19年までの「新経営改善計画」が策定されているが、そこに示されている職員数及び人件費の削減方針については、定年退職者等の動向を見ながら、外部委託への切り替えを進めていくという、現行制度を前提に見込みを示したものであり、また、計画策定単位を大学全体ではなく附属病院部門に限定している点において限界がある。
 
Ⅴ 監査結果に添えて提出する意見
-問題点の解決方法としての地方独立行政法人化-
(1)地方独立行政法人法の制定とその基本理念
地方独立行政法人法は、平成16年4月1日から施行され、明確な目標設定の下での自主性の促進、行政サービス水準と効率性の向上、住民への情報公開の充実という基本理念に基づく制度である。
その対象業務は、試験研究、大学の設置及び管理、公営企業に相当する事業、社会福祉事業及び公共的な施設で政令で定めるものとしている。
 
(2)公立大学の法人化
国立大学は、平成16年4月1日から全ての大学において法人格を取得する。
公立大学においても、共通の基盤の下で競争を行うためには、独立行政法人化が不可欠であり、組織の公共性・公益性を確保しつつ、行政から独立した自立的経営体となることにより、大学の設置理念の再認識や運営効率化のための学内システムの改革、納税者である住民に対する情報提供、透明性確保の制度導入を促す契機となることが期待される。
 
(3)地方独立行政法人法による制度的変革点
地方独立行政法人制度においては、経営責任の所在が明確になり、主体的な運営を可能にし、複数年度にわたる業務運営など、弾力的な法人運営が期待できる。業務実績を第三者機関が定期的に評価・勧告を行うほか、業績を反映した給与体型等の確立や業績主義の人事管理を行うことで、公共サービス水準の向上が期待できる。企業会計原則を採用することで、財務内容の明確性・透明性が確保される。
 
(4)公立大学が地方独立行政法人制度を採用するにあたって考慮すべき課題
公立大学は、国立大学に比べ、人的・物的基盤が貧弱であることから、基盤整備が急務であり、独自の財政基盤確保への努力が不可欠である。国庫補助事業や税の優遇措置を、法人化後は受けられない可能性もある。企業会計に準拠した会計基準の導入に当たり、基礎数字の確定には、膨大かつ複雑な作業が必要であり、多額の経費を要する。
これら課題を考慮した上で、独立行政法人化するメリットを明確にする必要がある。
 
(5)地方独立行政法人化への取組状況の概要
①札幌医科大学における取組状況
平成13年9月に法人化問題ワーキンググループが設置され、中間報告を作成すべく取り組んでいる。
②北海道における取組状況
道は、年度内に「地方独立行政法人制度に関する指針(仮称)」を策定し、今後、事業毎に法人化の是非を検討する。大学については、法人化が大学改革に効果的であるかどうかの観点から、その導入の是非を検討する予定である。
 
(6)札幌医科大学を地方独立行政法人とすることによる問題点の解決
①札幌医科大学の現状での問題点の総括
1)大学と医局の二重構造
大学の講座を中心とした任意組織である医局について、住民に対して、その財政状況等の明示が十分に行われているのかという問題がある。
2)現行の官庁会計制度による弊害
官庁会計制度は、単年度毎の予算となるため、長期的なビジョンを持って弾力的に運用する意識が生まれてこない。予算を節約しても内部留保ができず、効率よく予算を執行する意識も希薄化することとなる。
②札幌医科大学の問題点解決のための地方独立行政法人化
1)地方独立行政法人化
国立大学との制度的公平を保つだけにとどまらず、医局に関する部分を含め、長に権限を集中することで責任の所在が明確になり、住民も情報開示を求め、適切な判断をすることが可能になる。
2)地方独立行政法人における企業会計制度の位置付け
企業会計方式の財務会計制度は、札幌医科大学の運営そのものに有機的な関連を持ち得る制度である。
3)地方独立行政法人化による問題点の解決について
札幌医科大学を一体として議論することを可能にする。財務会計制度と結びついた中期計画・中期目標により、予算制度・意志決定機構を改革できる。財務数値の測定・評価を通じて、人事制度を改革できる。第三者の評価制度を改革できる。戦略を通して、組織を変革できる。バランスシートを含む財務諸表を通して、資産管理を改革できる。ディスクロージャーを通して、札幌医科大学の存在意義を伝えることができる。
 
参考  札幌医科大学及び附属病院の会計の概要
 
  (1) 札幌医科大学の会計の概要
                                 (単位:億円)
科  目  H10  H11  H12  H13  H14
Ⅰ.経常的収入    8.7    8.8    9.1    8.9    9.2
Ⅱ.経常的支出          
 1.人件費   58.1   58.9   59.2   59.9   59.5
 2.物件費   14.6   19.8   18.7   18.8   20.8
  経常支出 計   72.7   78.7   77.9   78.7   80.3
  経常収支差額   -64.0   -69.9   -68.8   -69.7   -71.0
Ⅲ.資本的支出   96.8    5.4    4.7    3.5    3.3
差引  -160.8   -75.3   -73.6   -73.2   -74.3
 
 
  (2) 附属病院の会計の概要
                                 (単位:億円)
科  目  H10  H11  H12  H13  H14
Ⅰ.経常的収入   141.7   152.6   154.7   156.0   161.8
Ⅱ.経常的支出          
 1.人件費   103.9   103.4   101.7   103.2   100.4
 2.物件費   87.7   87.3   85.7   84.9   86.9
  経常支出 計   191.6   190.7   187.4   188.1   187.3
  経常収支差額   -49.9   -38.1   -32.7   -32.1   -25.5
Ⅲ.資本的支出   16.1    9.8    5.4    4.6    4.6
差引   -66.0   -47.9   -38.1   -36.7   -30.1
 
 
  (3) 札幌医科大学と附属病院とを合算した会計の概要
                                 (単位:億円)
科  目  H10  H11  H12  H13  H14
Ⅰ.経常的収入   150.4   161.4   163.8   164.9   171.1
Ⅱ.経常的支出          
 1.人件費   162.0   162.3   161.0   163.0   159.9
 2.物件費   102.3   107.2   104.4   103.7   107.7
  経常支出 計   264.3   269.5   265.4   266.7   267.6
  経常収支差額  -113.9  -108.1  -101.6  -101.9   -96.5
Ⅲ.資本的支出   112.9   15.2   10.1    8.0    7.9
差引  -226.8  -123.3  -111.7  -109.9  -104.4