| 用地等補償に関する税金の案内 | ||
| 北海道農政部 |
| は じ め に | ||
| 北海道農政部では、高生産農業を実現するために、農業用施設の新設・整備・保全等(「農業農村整備事業」と呼んでいます。)を行っています。このため、皆さんから貴重な土地の提供や建物等の移転などをお願いしなければなりません。 農業農村整備事業で支払われる買収・補償金には、いくつかの課税の特例が用意されていますが補償の内容や税金の種類によって、必ずしもすべてが無税となる訳ではなく課税の対象となるものがあります。 このパンフレットは、そうした課税及び税の軽減特例制度について、簡単に紹介させていただくために作成したものです。なお詳細については、関係機関(税務署、総合振興局・振興局税務課、道税事務所、市町村税務課等)と十分相談されますようお願いいたします。 | ||
| 標準的な補償協議・契約、税のながれ | ||
| ◎ 課税及び税の特例制度について | ||||
| 1, | 土地等の補償 | |||
| 土地代金は「対価補償金」(収用等の目的で、資産の対価として支払われた補償金)として扱われ譲渡所得になり、この譲渡所得に対して「所得税」が課税されますが、次の(A)と(B)の特例があり納税者は、どちらか一方を選択することになります。 | ||||
| 譲渡取得の課税の特例 | ||||
| (A) | 5,000万円の特別控除{租税特別措置法(以下「措置法」という)第33条の4} | |||
| 対価補償金から取得費・譲渡費用を差し引いた残額(譲渡取得)から特別控除の額として5,000万円を差し引く特例制度です。 なお、二つ以上の資産ないし事業について、対価補償金を取得した場合でも特別控除の額は、年に5,000万円が限度額とされており、5,000万円の特別控除後の残額に対しては「所得税」が課税されます。 | ||||
| 注) | 同一事業による土地の売渡が2年以上にまたがった場合は、初年度のみ適用になります。 | |||
| (B) | 代替資産の買い換えの特例(措置法第33条) | |||
| ① | 対価補償金の金額をもって代替資産を取得した場合には、譲渡がなかったものとして所得税は課税されません。(これを「課税の繰延べ」といいます。) | |||
| ② | 対価補償金の一部で代替資産を取得した場合には、その残額に対して譲渡取得があったものとして課税されます。 | |||
| ③ | 特別な事情を除いて、契約後2年以内に代替資産を買った場合は適用になります。 | |||
| (B') | 居住用資産の譲渡による3,000万円の特別控除との併用 | |||
| 住宅など居住用資産の補償の場合も、(A)で説明した「5,000万円の控除」を適用できますが、住宅や宅地以外に農地や山林などが買収となり、合計の補償額が5,000万円を超える場合には、「居住用資産の譲渡による3,000万円の特別控除制度」を選択することができます。 この場合、農地や山林など(居住用の資産以外の資産)については、(B)の「代替資産の買い換えの特例」を併用することが可能です。 | ||||
| 注) | ① | 住宅・宅地部分の補償金が3,000万円を越える場合は、越えた部分が課税対象となります。 | ||
| ② | 「代替資産の買い換えの特例」を併用できるのは、農地・山林など住宅・宅地部分以外の資産に限ります。 | |||
| ③ | 「5,000万円控除」の特例は併用できません。 | |||
| 2, | 建物等の移転補償 | |||
| 建物・工作物・庭木等の移転(移植)補償金は「移転補償金」として扱われます。この場合、交付の目的に従って移転(移植)等に充てた金額は課税されませんが、受け取った補償額より実際にかかった費用が少なかった場合は、残金が「一時所得」として扱われ課税の対象になります。 また、建物を取り壊し移転補償金を受取った場合は、「対価補償金」として扱うことができますので、土地代金とともに5,000万円の特別控除の対象になります。 | ||||
| 注) | 土地の買収(あるいは土壌採取)がある場合のみ、補償金課税の特例が受けられます。 | |||
| 3, | 山林(立木)の伐採補償 | |||
| 5年を越えて所有している山林の伐採、または譲渡による補償金は「山林所得」になり、土地代金とともに「対価補償金」として扱われますので、5,000万円の特別控除の適用になります。 ただし、伐採した立木を起業者やその他へ売却した対価は、特例の適用がない「山林所得」となることに留意願います。 なお、5年以内で伐採、または譲渡による補償金は「雑所得」として扱われ、課税の対象になります。 | ||||
| 4, | 動産移転補償 | |||
| 動産移転の移転補償金は「一時所得」として扱われます。ただし、家財道具、商品、機械等の移転費用にあてたときは、課税されません。 また、移設困難な機械装置で取り壊す場合、その補償金は「対価補償金」の扱いとなりますので5,000万円の特別控除が適用になります。 | ||||
| 注) | 土地の買収(あるいは土壌採取)がある場合のみ、補償金課税の特例が受けられます。 | |||
| 5, | 農業の廃止・休止の補償 | |||
| 農業廃止に伴う農機具等売却損の補償は、「対価補償金」として扱われますので、5,000万円の特別控除が適用になります。 廃止の場合転業に必要な期間中の所得相当額の補償は、「収益補償金」の扱いとなり課税の対象となります。また、休止の場合の所得減補償も同様の取扱いとなり課税の対象となります。 | ||||
| 6, | 農業経営規模縮小の補償 | |||
| 経営規模縮小に伴う農業施設・農機具等過剰遊休化による損失の補償は、「経費補償金」として扱われ課税の対象となります。 | ||||
| 7, | 建物確認申請の手数料・建物登記費用などの移転雑費の補償 | |||
| 法令上の手続き費用は、「移転補償金」として扱われます。ただし、交付の目的に従って充てた金額は課税されません。 交付の目的に従って充てなかった金額は、「一時所得」として扱われ課税対象となります。 | ||||
| 8, | 立毛・土地使用などの補償 | |||
| 立毛補償、土地使用料は「収益補償金」とみなされ、課税の特例は受けられません。 | ||||
| ◎ 不 動 産 取 得 税 | |||
| 土地建物等の譲渡所得は住民税等の地方税についても、課税の対象になります。 また、土地を買ったり建物を建てたりした場合は、「不動産取得税」(不動産取得税は、土地や建物を取得したときに「一度だけ」課税される道税です)が課せられますが、その取得の状況に よって不動産取得税の軽減が受けられます。 | |||
| ◎ | 軽減を受けるためには次の条件があります | ||
| 1 | 軽減を受けられる人 | ||
| 土地や家屋を譲渡した不動産の所有者であり、譲渡代金・補償金を受けた人で、その譲渡代金・補償金で代わりの不動産を取得したとき。 | |||
| 注) | 借家(地)人・地上権者・抵当権者等は、補償金を受けても軽減の対象にはなりません。 | ||
| 2 | 代わりの不動産の取得期間が次の期間内であること | ||
| ① | 譲渡又は移転補償契約をした日から2年以内に代わりの不動産を取得したとき。 | ||
| ② | 譲渡又は移転補償契約をした日の前1年の期間内に代わりの不動産を取得していたとき。 | ||
| ◎ | 軽減される税額 | ||
| 1 | 譲渡した不動産の固定資産評価額に不動産取得税の税率を乗じた額。 | ||
| (代わりに取得した不動産の固定資産評価額-譲渡した不動産の固定資産評価額)×不動産取得税の税率=納めていただく不動産取得税の税額 | |||
| 2 | 代わりに取得した不動産が「住宅用土地・住宅」の場合は、住宅用土地の減額及び住宅控除も併せて受けることができます。 | ||
| ◎ 市 町 村 民 税 | |||
| 1. | 住 民 税 | ||
| 個人に課税される道民税と市町村民税をあわせて「住民税」といわれています。 住民税は均等割と所得割の税額を合算して計算され、土地建物の譲渡所得からは所得割の税額が加算されます。 | |||
| 均 等 割 額 道民税 1,000 円 市町村民税 3,000 円 所 得 割 額 前年度中に得た所得の額に応じて納めます。 | |||
| 所得はその性質により次の種類に分かれます。 | |||
| ①利子所得 ②配当所得 ③不動産所得 ④事業所得 ⑤給与所得 ⑥退職所得 ⑦山林所得 ⑧譲渡所得 ⑨一時所得 ⑩雑所得 | |||
| 2. | 固定資産税 | ||
| 代替不動産(土地、家屋)の取得後には、道税の不動産所得税が課税されますが、取得の翌年からは毎年1月1日現在の所有者に「固定資産税」が課税されることになります。 | |||
| 3. | 国民健康保険税 | ||
| 所得割額・資産割額・均等割額・平等割額を合算した額です。 なお、長期譲渡所得等に係る国民健康保険税の課税の特例が受けられます。(租税特別措置法の特別控除額を控除した額を対象額とする。) | |||
| ◎ 相続(譲与)税の納税猶予を受けている方へ | |||
| 相続(譲与)税の納税猶予を受けている農地等を事業のために譲渡した場合には、納付(納税猶予期限が確定)することとなった相続(譲与)税にかかる利子税を納付しなければなりません。 ここで納付しなければならない利子税について、2分の1に軽減される特例があります。 | |||
| ○ | 農地等を事業により譲渡した場合には、譲渡した日から2ケ月以内に、利子税の軽減を受けたい旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出して下さい。(2ケ月を過ぎると利子税から延滞税へと切り替ります) また、道税であります不動産取得税についても徴収猶予を受けている場合がありますので、総合振興局・振興局税務課又は道税事務所に「不動産取得税徴収猶予に係る農地等の異動届出書」を提出して下さい。 なお、納税猶予を受けている土地の2割以上を譲渡した場合には、納税猶予されている全てを納めなければなりません。 | ||
| ◎ 補償等に関する消費税及び地方消費税 | |||
| (1) | 事業の施工に伴う損失の補償等に関する消費税等(消費税と地方消費税)については、次の取扱いとします。事業者(消費税法で定める事業者をいい、免税事業者を除きます)である土地等の権利者から課税資産の譲渡等を受ける場合の対価たる補償金「(土地(非課税)・土壌採取・一月未満の土地使用・区分地上権(非課税)」については、消費税等を含まない価格等に消費税等率を乗じた額を加算して支払います。 | ||
| (2) | (1)以外の補償については、資産の譲渡等の対価に当たらないため不課税となりますが、第三者である事業者から課税資産の譲渡等を受けることを前提にしている以下のようなケースでの補償金については、消費税等相当額を考慮しています。 | ||
| ○ | 補償物件が事業用資産でないもの。(家事用資産の補償) | ||
| ○ | 基準期間の課税売上高が1千万円以下であり、かつ、課税事業者の選択をしていないもの。(免税事業者) | ||
| ○ | 課税仕入れ等に係る消費税等額の計算方法について、簡易課税制度を選択適用しているもの。(簡易課税制度選択事業者) | ||
| ○ | 課税仕入れ等に係る消費税等額の計算方法について、個別対応方式を選択適用し、次の売上に対応するもの。 1)補償物件が、非課税売上げに対応するもの。 2)補償物件が、課税売上及び非課税売上げに共通するもの。 | ||
| ○ | 課税仕入れ等に係る消費税等額の計算方法について、一括比例配分方式を選択適用しているもの。(一括比例配分方式) | ||
| ◎ 税務用語の説明 | ||
| 用 語 | 説 明 内 容 | |
| 譲渡所得金額 | 資産を譲渡して得た所得で、通常の売買のほか公共事業に協力するための譲渡もあります。その資産の種類によってその所得の計算方法が異なります。 | |
| 取得費 | 譲渡した資産の購入代金・登記手数料など実際に要した費用。(実際の取得費が明らかでない場合には、概算取得費として譲渡した資産の補償金に5%を乗じて、計上してもよいことになっております。) | |
| 譲渡費用 | 仲介手数料、測量費用等の資産の譲渡に直接要した経費。 | |
| 所得の種類 | ①利子所得 | 預貯金や公社債の利子の所得。 |
| ②配当所得 | 株式の配当や証券投資信託の収益分配金などの所得。 | |
| ③不動産所得 | 土地や建物などを貸して得た地代や家賃の所得。 | |
| ④事業所得 | 自分で事業(商工業や自由業等)を経営したり、農漁業を営んでいる場合の所得。 | |
| ⑤給与所得 | サラリーマン等の給料・賃金・ボーナスなどの所得。 | |
| ⑥退職所得 | 退職金などの所得。 | |
| ⑦山林所得 | 山林を売って得た所得。 | |
| ⑧譲渡所得 | 財産を売って得た所得。(土地・建物・ゴルフ会員権などを売った場合の所得。なお、土地等建物については、分離課税となります。) | |
| ⑨一時所得 | 懸賞金など継続性のない一時的な所得。 | |
| ⑩雑所得 | 上記の利子所得から一時所得まであてはまらない年金などの所得。 | |
| お わ り に |
| 最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。 今後とも、農業農村整備事業にご理解をいただき、ご協力下さいますようお願い申し上げます。 また、税金に関しましては制度の改正見直し等がありますので、詳細に関しましては必ず各関係機関(税務署、総合振興局・振興局税務課、道税事務所、市町村税務課等)へお問い合わせ願います。 |