農業・農村の有する多面的機能とは
農業・農村の有する多面的機能は、「食料・農業・農村基本法」(平成11年法律第106号)第3条に次のとおり定義されています。
「国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生ずる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能(以下「多面的機能」という。)については、国民生活及び国民経済の安定に果たす役割にかんがみ、将来にわたって、適切かつ十分に発揮されなければならない。」
多面的機能については、食料・農業・農村基本法の逐条解説において、「農業は、植物を栽培耕作し、又は動物を飼養することにより、人に有用な植物又は動物を得ることを本来の目的とする産業であり、農業の本来の機能は、こうした食料を中心とする農産物を生産し、供給する機能である。同時に、農業は、この農産物の供給機能以外にも、土地、水等を生産要素として、農村で継続的に農業生産活動が行われることにより、様々な効果を及ぼしている。これらの様々な効果のうち、農作物のように市場で評価されるものではないが、第三者に対し何らかの利益を与えるもの(外部経済効果)を生ずる機能を、本法では『多面的機能』と呼ぶ。」と解説されています。
また、「(食料・農業・農村基本法)第三条は、ゆとり、やすらぎといった精神的な価値を重視する気運の高まりの中で、市場で評価されない外部経済効果であるこれらの農業・農村の有する『多面的機能の発揮』に対する国民の期待が高まっていることから、『食料の安定供給の確保』と並ぶ基本理念としてこれを明確に位置づけ、食料、農業及び農村に関する施策を推進し、将来にわたり適切かつ十分な発揮を図ることにより、国民の安心で安全な生活の実現に寄与していこうとするものである。」と解説されています。
農業・農村の有する多面的機能の主なもの及びその評価額は次のとおりです。
■ 多面的機能の経済的評価<全国>(代替法による試算)
| 機能 | 評価の概要 | 全国に係る評価額(億円/年) | 中山間地域に係る評価額(億円/年) |
|
洪水防止機能 |
雨水の保水・貯水 |
28,789 |
11,496 |
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水源のかん養機能 |
水の地下浸透による地下水のかん養や河川への還元 |
12,887 |
6,023 |
|
土壌浸食防止機能 |
土壌浸食による被害の軽減 |
2,851 |
1,745 |
|
土砂崩壊防止機能 |
土砂崩壊による被害の軽減 |
1,428 |
839 |
|
有機性廃棄物処理機能 |
食物残さ等の廃棄物処理費用の軽減 |
64 |
26 |
|
大気浄化機能 |
大気汚染ガスを吸収し大気を浄化 |
99 |
42 |
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気候緩和機能 |
夏期の気温低下 |
105 |
20 |
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保健休養・やすらぎ機能(文化的機能) |
都市住民訪問による価値 |
22,565 |
10,128 |
|
合計 |
|
68,788 |
30,319 |
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農業粗生産額(平成9年)(億円) |
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99,886 |
36,307 |
資料:農林水産省農業総合研究所(平成10年6月)
注:上表の評価額については、一定の仮定に基づき試算したものである。
■ 北海道の農業・農村の有する多面的機能(試算)
| 機能 | 効果 | 評価手法 | 評価額(億円/年) | |
| 国土保全機能 | 洪水防止機能 | 洪水被害の軽減 |
代替法 |
6,143 |
| 土壌浸食防止機能 | 土壌浸食被害の軽減 | 代替法 |
32 | |
| 水資源かん養機能 | 河川流況の安定 | 代替法 |
543 | |
| 大気浄化機能 | 大気汚染ガスの吸収 | 代替法 |
687 | |
| アメニティ機能 | 景観保全機能 | 美しい農村風景の提供 | 仮想市場評価法 |
2,464 |
| 保健休養機能 | 休息・休暇の場の提供 | 仮想市場評価法 |
1,044 | |
| 生態系保全機能 | 野生生物生息環境の維持 | 仮想市場評価法 |
641 | |
| 教育・文化機能 | 自然教育機能 | 情操教育の場の提供 | 仮想市場評価法 |
1,017 |
| 農業実務研修機能 | 農業技術研修の場の提供 | 代替法 |
10 | |
| 合計 |
12,581 |
資料:北海道農政部「農業・農村の多面的機能の評価調査」(平成10年3月)