はじめに~農業法人と農業生産法人


「農業法人」とはどのようなものをいうのでしょうか?

 農業法人とは、法人形態によって農業を営む法人の総称です。
 「法人」とは、法律に基づき、団体に法律上の「人格」を与えられたもので、一般の人間(自然人)と同じように法律上の権利・義務の主体となることができます。
 農業法人は、制度の面から大きく次の2つに分けることができます。
  1. 会社法人(会社の形態をとるもの)
  2. 農事組合法人(組合の形態をとるもの)
 会社法人は、営利を目的とする法人で、株式会社などが代表例としてあげられます。
 これに対し、農事組合法人は、農業経営等を法人化するため、農業独特のものとして設けられたものであり、、いわば協同組織的性格を有しています。
 2005年の農業センサスでは、全国で、法人化している農業経営体は、農事組合法人が2,610、株式会社が1,344、有限会社が9,559、合名・合資会社が79、合わせて13,592法人となっています。

「農業生産法人」と「農業法人」は違うのでしょうか。

  農業法人は、農地を利用するか否かによって、「農業生産法人」と「その他の農業法人」に大別されます。
 農業生産法人というのは、農地法で規定された呼び名で、農地や採草放牧地を利用して農業経営を行うことのできる法人です。農業生産法人になるためには、農事組合法人(農業経営を行うもの)、合同会社、合名会社、合資会社又は株式会社(株式の譲渡制限を定めるもの)で、農地法に規定された一定の要件(事業要件、構成員要件、業務執行役員要件)を満たす必要があります。
 いわゆる野菜工場でのトマト栽培、ガラスハウスでの花き栽培、鶏舎での養鶏など、農地を利用しない経営の場合は、農業生産法人の要件を満たしている必要はありません。

 農地法では、所有権や使用貸借権など農地の権利移動をするためには、原則として知事又は農業委員会の許可を要することとされています。許可にあたっては、農地を効率的に利用するかどうか、受け手の農業経営の状態や経営面積等を審査し、許可してはならない基準に該当するときは、許可しないこととされています。農業生産法人以外の法人による農地の権利取得はこの基準に該当するため、法人が農地の権利取得をするためには、原則として農地法で定める一定の要件(農業生産法人要件)を備える必要があります。

 ただし、平成21年12月15日施行の農地法等の改正により、農業生産法人以外の法人も一定の条件の下、賃貸に限り権利取得が認められることになりました。(※所有権の取得は従来どおり認められません。)

(参考)
 →農地の売買・賃借等を行うには

(参考) 農業生産法人の形態

農業生産法人の形態図


 なぜ「法人」なのでしょうか?

 平成26年1月現在、道内では約2,900の農業生産法人が農業経営を行っています。特に近年は、年間100近い法人が設立されており、本道農業を支える中核的な担い手として、注目が集まっています。
 「加工や販売など経営を多角化したい」、「後継者となる優秀な人材を確保したい」、「仲間と力を合わせ、地域農業を守りたい」など、これからの経営の展望をお持ちの方にとって、「法人」という制度を活かし、力強い組織経営づくりを実践することによって、これらの目標を実現する大きな可能性が拓かれてきます。

 法人化には、何かメリットがあるのでしょうか。

 法人化には、下の図にあるようなメリットがあるといわれています。ただし、法人化するに当たっては、なぜ法人化するのか、その意義や目的を明確にすることが大切です。補助金や融資制度、税制上の優遇措置など目先の利益にとらわれるのではなく、将来的なビジョンや経営内容を見据えて、自らの経営努力を積み重ねていく中に、法人化による様々なメリットが追い風となって現れてくると考えてください。法人によって「何かが変わる」のではなく、「何を変える」のかに意識を置くことが重要なポイントです。
○ 制度上のメリット ○法人化に伴う義務・負担
税制

・所得の分配による事業主への課税軽減

・定率課税の法人税の適用

・役員報酬の給与所得化による節税

・使用人兼務役員賞与の損金算入

・退職給与等の損金算入

・欠損金の7年間繰越控除(青色申告)

・割増償却制度(認定農業者・青色申告)

・転作助成金の特別勘定経理と圧縮記帳

・農用地利用集積準備金(特定農業法人)

・法人課税の適用が個人課税より有利となるためには、一定以上の所得規模が必要

・法人の場合、利益がなくても、最低限、道民税、市町村民税(均等割)の納税義務が発生

制度融資

・融資限度額の拡大(認定農業者)

・スーパーL資金の「円滑化貸付」による一部無担保、無保証貸付(認定農業者)

社会保障制度

・社会保険・労働保険の適用による農業従事者の福利増進

・労働時間等の就業規則の整備、給与制の導入による就業条件の明確化

・各種社会保険制度の導入により、事業主負担が発生
農地の取得 ・農地保有合理化法人が農用地等を現物出資することにより農地取得の負担軽減(特定農業法人等出資育成事業)
○経営・運営上のメリット ○法人化に伴う義務・負担
経営管理

・経営責任に対する自覚を持つことで、経営者としての意識改革を促進

・家計と経営が分離され、経営管理が徹底

・複式簿記(企業会計原則)での記帳義務(財務管理の複雑化)により多少の労力が必要

・会計事務や税務申告を専門家に依頼するとき、経費負担が発生

・法人の設立には、資本金、設立登記費用等の経費が必要

対外的信用力

・計数管理の明確化や各種法定義務(登記、経営報告)を伴うため、取引先の信用力が向上

・法人となることで、イメージが向上し、商品取引や従業員等の雇用が円滑化

人材の確保・育成

・法人の役員、社員等の中から有能な者を後継者として確保することが可能

・就農希望者が法人に就農することにより、初期負担なく経営能力、農業技術の習得が可能


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