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最終更新日:2020年2月25日(火)


知床が世界自然遺産に登録されたことを受けて



『知床』の世界自然遺産登録を受けて

北海道知事 高橋はるみ

【はじめに】

 この度南アフリカで開催されたユネスコ世界遺産委員会において、北海道の宝『知床』が世界自然遺産として登録されました。日本国内の世界自然遺産登録は1993年の屋久島(鹿児島県)と白神山地(青森県・秋田県)以来、実に12年ぶりです。本道の自然環境が世界的にも認められたことを、心から嬉しく思っています。

 知床の語源は先住民族であるアイヌの言葉に由来し、「地の果ての尽きるところ」を意味します。その名のとおり、厳しい自然と人を寄せ付けない地形が、陸域から海域に繋がる、比類ない生態系を育んでいます。

このような貴重な自然を守り、登録に向けた取組に心血を注いでこられた地元斜里町・羅臼町の皆様をはじめ、関係各位のこれまでの御尽力に深甚なる敬意を表します。また、漁業の持続と環境保全の両立に向けて御理解いただいた地元漁業者の皆様に、改めてお礼を申し上げます。


【知床の自然環境保護】

私たちには、世界自然遺産『知床』を、人類共有の財産として、次世代にしっかりと引き継いでいく責任があります。世界遺産委員会の評価では、「海洋生態系と陸上生態系の相互作用とともに特異な生態系を示す顕著な見本」とされており、生態系の微妙なバランスの上に成り立っている知床の自然環境を維持していくことは重要なことです。

知床の自然環境保護のため、これまでも地域では地道な取組が行われてきました。自然保護のための土地買い上げ運動として1977年に始まった「しれとこ100平方メートル運動」は、ナショナルトラスト運動の先駆けとして我が国の自然保護運動に大きな影響を与え、現在も森林再生運動として脈々と受け継がれています。また、住民ボランティアによる海岸清掃活動も活発に行われ、近年着実にその輪が広がりを見せています。

今後、来訪者の増加が予想される中、環境保全と観光の両立を図ることが不可欠です。このため自然探勝など形態別の利用について関係者と検討を重ね、適正な利用のためのいわゆる「知床ルール」づくりを推進していきたいと考えています。

【知床の観光】

 知床は流氷が接岸する最南端の地であり、海から陸に繋がる生態系の微妙なバランスの下で多様な動植物が混在し、シマフクロウ、オオワシなど国際的希少種の重要な生息地にもなっています。また、雄大な自然景観を有しており、人々に深い感銘を与えています。

世界自然遺産登録を契機に、国内のみならず世界各国の方々が知床を訪れると思われます。一人でも多くの方に、壮大な自然景観や野生生物の営みを心に刻んでいただきたいと思います。同時に、知床を将来に引き継いでいくために、旅行者の皆様にも環境への配慮をお願いしなければなりません。

また、知床ではエゾシカやヒグマ等と遭遇する可能性もあります。これら野生動物の生態を乱し、事故に遭うことのないよう、情報収集に努めるとともに、観察マナーなどを遵守して、安全で快適な旅行をしていただきたいと願ってやみません。そのため、自然環境や観光、地域が繋がりをもって知床の価値を高め、誇りあるふるさとを創造していく取組として「知床型エコツーリズム」を推進していきたいと考えています。

【北海道の自然の魅力と観光】

 北海道には、知床を含めて6カ所の国立公園、5カ所の国定公園、12カ所の道立自然公園があります。また、ラムサール条約に登録されている湿原も全国13カ所のうち道内で6カ所(平成17年7月1日現在)を数えるなど、まさに自然の宝庫です。知床やその周辺地域と併せ道内各地の大自然が織りなす四季折々の魅力を、国内外の大勢の方々にぜひ鑑賞していただきたいと考えています。

【終わりに】

私は、知床世界自然遺産の登録はゴールではなく、国や地元の方々とより一層密接に連携し、「知床ルール」づくりをはじめとした自然環境保護を推進するためのスタートであると思います。はるか過去をさかのぼると、北海道には狩猟や採集を主体とした暮らしがあり、それは自然との調和を尊ぶアイヌ文化へと受け継がれたとされています。私としては、そうしたアイヌの方々の知恵や精神文化にも学びながら、知床が世界に誇る生態系、希少生物を保護していけるよう、取組を推進して参りたいと考えています。