<自然現象>
 
 
冬期に見られる可能性の高い自然現象を簡単に解説してあります。

1
  太陽の周りの白い雲が緑や赤、青など鮮やかに色づいているのを見ることがあります。このような色づいた雲を彩雲と言います。大気が安定した良く晴れたときに現れやすく、空気中のちりが少ないときに見かけます。この現象の仕組みは、雲の水滴や氷の結晶による光の回折(かいせつ)現象です。一つの雲では水滴の大きさは、中心部が大きく外側が小さいのが普通ですが、雲の中で同じ大きさの粒が帯状になって何重にも
彩雲の写真
    札幌市中央区(長尾) 
なるときがあります。そこに太陽から来た光が水滴の集まりの中を通過すると、回折により光の波長と水滴の大きさに応じて雲に色づくのが彩雲です。
 古くから彩雲を五彩慶雲(ごさいけいうん)や瑞雲(ずいうん)、 紫雲(しうん)などと呼び、良いことが起こる前ぶれとして文献にもでてきます。
 彩雲の発生には太陽の高さは関係がなく、注意していれば比較的よく目にします。
 注)
  回折:光が障害物(今回の場合は水滴、氷の結晶)の端を通過して伝播するときに、障害物の裏側に回りこむ物理現象

 詳しく知りたい方はこちらへ 

2

(注 サングラスなどで目を保護してください)
  太陽と同じ高度で、その左右(片方の場合もあります。)に周囲とは明らかに違う明るいスポットを見ることがあります。これが幻日という現象で、暈と同じ原理で発生しますが、その違いは、六角形の板状の結晶が多くあり、六角形の面が水平になって浮かんでいるとき側面に入った光が屈折して出てくるときに発生します。幻日の中には、太陽と反対側に尾を引いたように伸びたりするものや虹の一部分のように見えたりするのもあります。
  なお、月でも同様な現象を見ることもありますが光が強い満月頃でないと見られません。月の場合は幻月(げんげつ)と言います。
  道内各地で見ることがあります。
  詳しく知りたい方はこちらへ 
幻日の写真    札幌市中央区(長尾)   


3  
(注 サングラスなどで目を保護してください)
  太陽や月がベールのような白い雲に覆われたときに、その回りに内側が赤色で外側に向かって紫色もしくは白色になっていく大きな輪が見られることがあります。これは暈(ハロと言うときもある。)という現象で、空中の氷の結晶(六角形の柱状)に光が入り、プリズムのように屈折して七色に分れて外に出てくるためです。
  道内各地で見ることがあります。
  詳しく知りたい方はこちらへ 

                                       

 暈の写真
幌加内町(長尾)
 


4
(注 サングラスなどで目を保護してください)
 
 朝日や夕日の前後に太陽の上下に(上又は下のみのときもあります。)太陽と同じ幅か少し広く、太陽の色と殆ど変わらない光の柱のようなものが現れることがあります。これが太陽柱(サンピラー)と呼ばれるものです。太陽柱は、空中の氷の結晶に太陽光が反射しておきるもので、六角形の平板状氷の結晶の底面がほぼ水平に並びつつも多少揺らいだときに上下に光の柱が伸びます。
 もう少し分かりやすく解説しますと、夕日が海に沈むとき、海面に太陽の光が反射して柱状の光が太陽と同じ幅で見ることがあります。
太陽柱の写真
札幌市中央区(長尾)         
  このときの海を大きな平面状の氷の結晶と見立て、それが幾重にも重なって見えると立体的な光の柱になります。上に伸びる光の柱は、氷の結晶の底面に、下に伸びるものは結晶の上面に光が反射しておきています。
  柱が太陽と同じ幅で見えるのは、反射した光は四方八方に広がりますが、目に見える光は太陽と同じ幅の反射光しか見えないためです。
  また、下に伸びる太陽柱の中には、視線の水平方向を挟んで太陽の反対側にスポット状の特に明るい部分があることもあり、この部分を映日(サブサン)と呼び、この部分だけが見えることもあります。映日は視線の水平方向より下方に出現するため山の上などからでないとなかなか見られません。
  太陽柱は、自分が立っている場所で風が吹いていても、太陽との間に先ほどの条件が整っていると
出現します。
  これも気をつけて空を眺めているとときどきみられますが、朝日のものは日の出後30分程で見られなくなります。太陽の高度が増すと太陽柱は見えません。これは反射角度によるものです。
  なお、太陽のほかに月や街灯の光でも光の柱は見られ、月の場合は月光柱(げっこうちゅう:ムーンピラー)、街灯の場合は光柱(こうちゅう:ライトピラー)と呼んでいます。月光柱は満月のように光が強いときでないと見ることはできません。光柱はスキー場のナイター照明によく見られます。また、道南の日本海沿岸や津軽海峡などでは漁り火の光柱も見られることがあります。
  詳しく知りたい方はこちらへ 


5  (注 サングラスなどで目を保護してください)
  気温が零下10度以下の良く晴れた無風(微風)のときに、空気中の水蒸気が水滴の段階を経ずに氷の結晶となって降ってくる現象です。この氷の結晶が太陽の光を受けるとキラキラと輝き、その様がダイヤモンドの塵(ちり)を空中に撒いたようなところからダイヤモンド・ダストと呼ばれています。
  結晶は六角形の柱状や板状で、結晶がぶつかりあう小さな音を聞くこともあります。これを「天使のささやき」と言うこともあり、幌加内町(天使の囁き実行委員会01653-5-3366)では毎年2月頃に「天使の囁きを聞く集い」が行われています。
  この現象は、条件さえ整えば零下5℃程度でも見ることがあります。
ダイヤモンドダストの写真 (末澤)

6
  晴れて冷え込んだ早朝に、川や湖の岸辺周辺で樹木の枝が氷の花が開いたように白く見られるのが樹霜で、氷の種類の一つです。
樹霜の写真
   札幌市中央区(長尾)  
  氷の種類には様々あり、雲粒や霧が樹木に衝突してできる氷や霜などの総称を霧氷(むひょう)と呼び、樹霜は霧氷の仲間です。霧氷は氷点下になっても氷にならない(過冷却)霧の粒や水蒸気が樹木に衝突してできる氷や霜などの総称で、樹氷(じゅひょう)・粗氷(そひょう)・樹霜(じゅそう)の3つがあります。
  樹霜は、河畔林の枝などに、川や湖水から発生した過飽和(かほうわ)の水蒸気が昇華凝結(しょうかぎょうけつ)してできた氷の結晶の光景をいいます。霧が出ていない時もできることがあります。
  樹霜は河川や湖畔の河畔林で見られ、網走市網走湖湖口や札幌市南区川沿~藻南公園の豊平川、旭川市石狩川・忠別川・美瑛川、帯広市十勝川などが見事です。
注)
 過飽和の水蒸気:ある温度の空気が含むことのできる水蒸気の量は決まっており、その量の最大値を「飽和水蒸気量」と言い、気温が下がると飽和水蒸気量は減少します(例:20℃では17.2g/m3、10℃では9.3g/m3)。飽和水蒸気量に対する空気中の水蒸気量の割合をパーセントで示したのが湿度です。
 空気の冷却が進んで湿度が100%になると、その空気は「飽和」したと言います。その後も空気の冷却が続くと湿度は100%を超える状態となり、これを「過飽和」と言い、空気中の水蒸気は液体に戻ろうとします。

 昇 華(しょうか):通常、水は固体(氷)が融けると液体になり、蒸発して気体となる3つの形を持っていますが、氷が融ける時に液体にならずに気体に直接変わることを昇華と言い、また、水蒸気から水にならずに直接氷になることも昇華と言います。固体から気体になる時を昇華蒸発、気体から固体になるときを昇華凝結と言い、昇華の区別をすることもあります。
 なお、沸騰したやかんから出ている湯気は、厳密に言えば液体としての水で、昇華蒸発した水蒸気は目には見えません。
            

7
  厳冬期の結氷した湖の上に霜の花が咲くことがあります。「花」と言っても水蒸気によって造られるもので、降雪や風のない晴れた夜明けに非常に冷え込んだ気象条件でないと見ることはできません。氷の表面は平面ではなく微妙におうとつ(凹凸)があります。非常に冷え込んだときに、このとつ
霜の花の写真
  弟子屈町屈斜路湖(末澤)
(凸)部分に氷から昇華した水蒸気がくっついて氷の結晶をつくります。水蒸気のくっつく量が多くなればなるほど結晶は大きくなり花びらをひろげたように形作られます。厳冬期ならではの造形です。 
  屈斜路湖では湖岸に温泉が湧き出ており、その水蒸気が作用して霜の花ができやすい環境にありますがそれでも年に数回しかありません。このほかに釧路市の春採湖や富良野市の鳥沼公園内の沼などで見られます。気象条件はあるものの、もしかしたら自分の近くの沼でも霜の花が咲いているかも知れません。 
          

8

(注:御神渡りの見られる周辺の氷は非常に不安定で危険ですので、絶対湖面に降りないようにしてください。)
  厳冬期の標茶町塘路湖や弟子屈町屈斜路湖では、全面結氷した湖に氷の山脈のように盛り上がった氷の帯を見ることがあります。これが御神渡りと言われる氷の収縮と膨張による現象です。
  この現象は、全面結氷した氷が、夜間の強い「しばれ」によって収縮すると湖岸の氷は地面に固定されているため、湖面の氷の弱いところに亀裂が入り割れ目が広がり、そこに薄氷が張ります。日が昇り気温が上ると、氷は膨張を始め、膨張した力は氷の薄い割れ目の所に集まり、次第に割れ目を狭くして行きます。それが何日も続くと割れ目はなくなりくっついてしまいます。
  さらにそれが続くと割れ目の所に集まった力によってそこを境に氷が両方から押されて立ちあがり、小さな氷の山脈ができます。さらに氷の収縮膨張が繰り返されると氷の山はさらに高くなります。
  塘路湖(例年12月下旬~3月上旬)と屈斜路湖(例年2月中旬~3月上旬)では毎年見られます。また、数年に1回見られる例は、音別町と白糠町の境にある馬主来(ぱしゅくる)沼(12月下旬)があります。
  屈斜路湖では10kmにも及ぶものが見られることもあり、御神渡りができやすいポイントは和琴半島の東の尾札部(おさつべ)川河口付近、池の湯の南、砂湯の北、仁伏(にぶし)温泉の西で、このうち尾札部川河口が例年一番早くできやすい場所です。
  また、時期によっては氷に亀裂が走る音や氷が盛り上がる音を聴くこともあります。
御神渡りの写真 
   弟子屈町屈斜路湖(末澤)

     

9
  流氷は、海水が凍る不思議な現象です。オホーツク海は最大水深3000m以上あり、シベリア大陸、サハリン、北海道、千島列島に囲まれ、太平洋や日本海の海水が入り込みにくい地形となっています。このため海と言うより大きな湖の様相があり、ここにアムール川から大量の淡水が流れ込んでいますが、海水には塩分が含まれているため淡水より比重が大きく、アムール川の水はオホーツク海の表面に広がります。表面の海水は淡水と混合して0.5~1‰(パーミル)ほど小さくなり、約50mほどの低塩分層(33‰:1リットルの水に33gの塩分がとけ込んでいる意味)と淡水の影響を受けていない海水層(34‰:以降低塩分層に対比して「高塩分層」という)の二層構造の海となります。
  オホーツク海は他の海と境になる大陸や島々の間の水深は浅く、地形的な要因からこの二層構造は壊れにくくなっています。
  冬になると、冷たい風に表面の水が冷やされ、冷やされた海水は下に沈み下の暖かい海水と入れ替わります(これを「対流」といいます。)。この対流は低塩分層内で行われ、高塩分層との境目付近で止まってしまいます。そのため、低塩分層の海水だけが冷やされて、零下1.8℃(海水には塩分が含まれているため0℃では凍りません。35‰で零下2℃です。)になると凍り始め海氷ができます。
流氷の写真
  網走市(長尾)
  海氷がさらに冷やされると氷の固まり、流氷となります。流氷はアムール川の河口で11月頃にでき、1月下旬には北海道の東部に接岸し、流氷の勢いが強いときは根室半島を越えて太平洋側や宗谷海峡を越えて日本海に流出することもあり、3月下旬頃には融けたりして消滅していきます。
  なお、日本海や太平洋が凍らない理由は、オホーツク海ほど明瞭な塩分層の境界がないため対流が深くまで続き、凍り始める前に春が来るためです。言い換えれば、オホーツク海は水深はあるものの凍りますので、水深50mの浅い海と言えるかも知れません。
  
  流氷を見るポイントはたくさんありますが、代表的なところとして斜里町ウトロ海岸、小清水町小清水原生花園、網走市北浜、二ツ岩、能取岬、湧別町三里浜、紋別市紋別海岸が上げられます。また、二ツ岩では流氷の音を聞くこともできます。
  流氷は風向きによっては接岸してもすぐに沖合に去る場合もありますので、気象情報には十分注意を図りたいものです。 
 注)
  ‰(パーミル):海水の濃度を表すときは千分率を使います。


10
  結氷した沼や湖の上でヒトデのような放射状の模様を見ることがあります。これが氷紋と呼ばれるものです。これは、氷の上に雪が積もり、その重みで氷は水と接し、氷の一部が日差しや風、沼(湖)底から発生するガス、水などによって氷に穴があきます。この穴から水が噴き出して周辺の雪を溶かして広がり、再び結氷して模様が出来上がります。
  氷紋にガスが閉じこめられているのを見ることもあります。
 

                         
氷紋の写真
弟子屈町屈斜路湖(末澤)
                                                              
 

11
 
湖岸のつららの写真
 弟子屈町屈斜路湖(末澤) 
  厳冬期に風によって高い波がおきる湖の岸で、木の枝などに「つらら」を見ることがあります。普通「つらら」と言うと屋根に積もった雪が融けてできたものを思い出しますが、湖岸のものは木の上に雪が無くてもできています。このつららは波浪によって舞い上げられたしぶき(飛沫)が、木の枝やヨシなどに付着し凍り、それが何回も繰り返されながら成長してできたものです。波浪が大きいと数メートルの氷の柱を見ることもあります。
  屈斜路湖では大規模なものを見ることができます。そのほか千歳市支笏湖でも見られます。
          
 

12
  蜃気楼は、大気中で光が屈折(くっせつ)して発生する現象です。物体はあらゆる方向に光を反射しており、大気中に温度差がない状態では光は直進するため、物体と目を直線で結んだ方向の光だけが目に見えます。大気の温度の差による光線の屈折(同じ気圧であると温度の高い空気は、分子が離ればなれになっているため密度が低く、そのため屈折率が低い。温度の低い空気は密度が高いため屈折率が高い)により、実際の物体の近くにその物体とは形が異なるように見えるのが蜃気楼です。
 屈折により途中でどんなに光が曲がっていても、観察者の目には、直前の光の方向に物体があるようにしか見えません。
  この蜃気楼には2つのタイプがあり、一つはオホーツク海で春先によく見られる「幻氷(げんぴょう)」に代表される上位蜃気楼で、もう一つは夏の道路に現れる「逃げ水」や、海上の船が浮いて見える「浮島現象」の下位蜃気楼です。
  双眼鏡があるとより現象を理解することができます。

   上位蜃気楼(じょういしんきろう)(富山湾や琵琶湖で見られる蜃気楼) 
弟子屈町屈斜路湖(末澤)
窓や右建物がゆがんでいる。雪の段差は虚像
蜃気楼の写真
  オホーツク海沿岸の各地、弟子屈町屈斜路湖(砂湯から和琴半島方向)、別海町野付半島(半島から尾岱沼集落方向)、小樽市高島(漁港から石狩新港方向)などで見ることがあります。
  普通、空気は地表面から高くなるにつれて気温が下がりますが、ときに地表面の空気の温度が低く、高くなるに従って暖かい空気の層ができる(「逆転層」とよばれる気象、無風又は微風時におこる)ことがあります。
  簡単に表現しますと空気の層の下が冷たく上が暖かい「上暖下冷」の温度構造となっています。
  自分と遠景(5km~10km前後)の実物体との間に「上暖下冷」の温度構造が見られるときに、その境界の狭い範囲で光の屈折が起きます。実景から目の方向にその まま進んだ光は観察者の目に届き、実景が見られます。
  一方、実景から上に出た光は逆転層の中では、気温の低い方(密度の高い方)へ屈折する性質があり、光は上に凸のカーブを描いて観察者の目に届きます。このとき実景が伸びたり、実景の上側に倒立した実景の像が見えます。このような像が見られるのが上位蜃気楼です。
  なお、上位蜃気楼は海上や湖水だけに発生するわけではなく、逆転層が発生していれば内陸でも見ることがあります。札幌市手稲区手稲山(日高山脈や大雪山方向)や中央区円山での記録もあります。
上位蜃気楼の図解
注)図は理解を深めるために誇張しています。
上位蜃気楼の例
上位蜃気楼の例      
図は代表的な上位蜃気楼の例(通常サイズは比較のために掲載)
注)図は理解を深めるために誇張しています。

下位蜃気楼(かいしんきろう)(浮島現象・逃げ水現象)
  海岸や湖で、遠くの対岸や船が浮いたり、水面に倒立の像が現れたりする「浮島現象」は道内各地で見られます。陸上のものとしては、豊富町サロベツ原生花園で4月中旬頃から6月下旬にかけて見られます。
  これは、地表面の空気が暖かく上昇するに従って気温が低くなる「上冷下暖」の温度構造のときに見られ実景の下方に実景を鏡に映したような寸詰まりの像が現れる現象です。
  実景から目の方向にそのまま進んだ光は観察者の目に届き、実景が見られます。一方、実景から   
下に出た光は地表面の温度が高いため、気温の低い上へ屈折し、光は下に凸のカーブを描いて観察者の目に届きます。このため実景の下方に倒立像が見えたり、実景が浮いて見えたりします。このような像が見られるのが下位蜃気楼です。
  なお、オホーツク海岸沿いでは流氷が浮いて見える場合がかなりあります。この現象が、下位の蜃気楼かどうかの見分け方は、浮いて見える像の上端が、一直線状にそろって見えれば上位の蜃気楼で、でこぼこになって見えれば下位の蜃気楼です。
蜃気楼の写真
        長万部町旭浜から室蘭(長尾)
下位蜃気楼の図解
注)図は理解を深めるために誇張しています。
  実際に見えるときは実像のある部分から下(上冷下暖の層の厚さ、物体の高さ、観測者までの距離によって違う)は見なくなり、そこに下方転倒した像が合体して見えます。


詳しく知りたい方はこちらへ 
  

13  
(注 サングラスなどで目を保護してください) 
  気温がとても下がった日の出直後に太陽が四角形などに変形することがあります。これは、上位蜃気楼によるものです。
  オホーツク海沿岸で厳冬期の日の出時に多く観察されていますが、網走から斜里にかけてなどでは、日の出の方向が半島や島の影響で見られない地域もありますので、場所選びは慎重を期す必要があります。
参考:別海町白鳥台の日の出の方向(角度は北から東回りです。)
四角い太陽の写真 標津町(末澤)
11/1 109° 11/15 114° 12/1  119°
12/15 122° 1/1  121° 1/15 119° 
2/1  113° 2/15 107° 3/1  100°
3/15  93° 4/1   83° 4/15  76°
 他の地域は緯度・経度によって1度前後のずれがあります。
 角度を知ることによって、水平線から昇る太陽が見られるかどうかを判断できます。20万分の1の地形図上に自分が立とうとする場所へ分度器を当て日の出の角度を測ります。その方向に島や半島があると、水平線から昇る太陽を見られないことになります。
 


14
 (注 サングラスなどで目を保護してください) 
だるま太陽の写真
石狩市(長尾) 
 夕日のころ、太陽の下端が海に接する直前に太陽一部が海に逆さまに映ったようにみえることがあり、その様が「だるま」の肩から上に似ていることからダルマ太陽と言われる現象が見られます。日の出の時にも見られ、こちらの方は太陽が水平線から離れる直前に見えます。
 これらは下位の蜃気楼によるものです。だるま太陽の時に太陽の上面が雲に隠されているのをワイングラス型の太陽(ワイングラス太陽)と呼ぶこともあります。
 各地の海岸で見られますが、オホーツク海沿岸で厳冬期の日の出時に多く観察され、肩から下がより多く(胸から上)見られます。
  なお、オホーツク海岸沿では厳冬期から早春にかけての日の出時、下位の蜃気楼と上位の蜃気楼が同時に出現する可能性もあり多様な形の太陽が現れますので、しばらく見ていることをお薦めします。
    

15

(注 サングラスなどで目を保護してください)
  無風の時、日没近くに本来円形のはずの太陽が、だ円形になったり、下の方が小さくくびれていたりするのを見ることがあります。これは、大気差によるものです。
変形した太陽の写真
石狩市(長尾) 
  大気差とは、太陽からの光が地球の大気層を 通り抜けてくる間(地上からおよそ、500Km の範囲に4つの層(そう)で区分されており、地上から順に、対流圏(たいりゅうけん)、成層圏(せいそうけん)、中間圏(ちゅうかんけん)、熱圏(ねつけん)) に屈折し、本来の位置よりずれて見える現象で、天頂方向(真上の方向)では大気差は小さく、地平線に近づくほど大きくなります。
また、水平線近くで潰(つぶ)れたように見える太陽の上面と下面では潰れ方に差があります。これは、上面と下面で大気差が違うためです。
  変形した太陽は、海辺近くであればどこでも見られるチャンスはあります。
   


16
   (注 サングラスなどで目を保護してください)
 太陽が地平線から消えようとする瞬間、緑色の光を放つことがあります。これをグリーン・フラッシュと言います。これも大気差によって起こる現象で、光の波長の違いによって見られるものです。波長の短い青色光が波長の長い赤色光に比べて屈折率が大きいため、太陽が沈むときに最後に見られるのが、緑色光のためです。
  なお、青色光が大気に入ってくるのに、緑色に光るのは、大気層を通過する間に青い光は散乱し、青色の波長に近い緑色の光が残るためです。
 グリーンフラッシュは日没直前に多く見られますが、時には太陽が水平線に沈みかけているときの上縁に見ることもあります。
 道内の各地の海岸で見られ、日没時・日の出時に出現します。日没時のものは光が徐々に弱くなるため見やすいが、日の出のものは出現しても光が強いため見ることは非常に困難です。見られる時間は1秒足らずです。
緑閃光の写真
                       石狩市(長尾)
 

17
  穏やかに晴れた朝、海面からもうもうと風呂場の湯気のように水蒸気が立ち上ることがあります。北海道ではこれを「けあらし」と呼んでいます。
  夜間、内陸や山地で冷や された空気は重たいため谷や川に沿ってゆっくり流れ、河口から海面上にでるときに、海上から昇る水蒸気が冷やされて霧が発生する現象です。現れやすい気象条件は、冬型の気圧配置が緩んで無風又は微風時の強く冷え込んだときで、気温が最も低くなる日の出ごろから発生し、気温が上がると消えてしまいます。遠くから見ていると冷気が流れた方向にけあらしが発生していく様子が見られます。
  けあらしは、道内各地の海岸で見られますが、留萌地方や釧路地方、網走地方、浦河地方で発生する頻度が高いようです。
  また、この現象は、海岸だけでなく湖や河川でも発生します。湖や河川の場合は、冷気が流れ込むというより、水蒸気が冷気に冷やされて霧が発生します。さらに、網走地方では、流氷原の中の開氷面からさかんに霧が発生することもあります。これも水蒸気が冷気で冷やされて発生します。これらの霧は、風が弱い時にしか発生しないため動くことは少なくまっすぐに立ちあがります。これも、けあらしの仲間といえるでしょう。
  なお、「けあらし」という呼び方の由来についてはよく分かっていません。
    けあらしの写真  網走市藻琴(長尾)
 

 
 
18
 
根開きの写真
   札幌市(長尾)
  雪に覆われた木々の根元がすり鉢状に窪むのを「根開き」と言います。これは、直射日光を受けて暖められた幹からの放熱と幹に当たった日光の反射光によって周囲の雪が融けてできたものです。
  放熱と反射熱では放熱の方がより大きい力が働いています。樹木の北側は日が当たらないため雪が融けずに木と雪が接していると思われがちですが、実際は融けてすり鉢状になっています。これは、北側にわずかな窪みが形成されると、窪みの斜面は南を向くため日光の入射角が大きくなって融け出すためです。
  根開きは春の訪れを伝えるしるしです。

19
雪まくりの写真
      札幌市(長尾)
  雪のたまを作って斜面を転がすと、小さな雪玉が海苔(のり)巻きのように徐々に太ってゆくのを雪まくりと言います。雪まくりが発生しやすい条件は、新雪の表層部分が日に照らされて少し融けたような湿った雪のときや、古く固まった雪の上に湿った雪が薄く積もったときで、雪玉が転げ落ちるときに湿った雪が接着剤のような働きをしながら巻き上がります。雪まくりが大きくなると、遠心力で壊れたり、自分の重さで雪にのめり込んでしまいます。 
  なお、雪まくりは「斜面」ばかりでおきるものではなく、置戸町では平坦な畑の中に強風によってつくられる雪まくりが数年に一度の割合で見られるとのことです。
 




   
動物や自然現象などの写真の提供をいただいた方々(敬称略)
  梅木 賢俊 (小樽市)
  末澤 雅彦 (弟子屈町)
  杉村 直樹 (稚内市)
  長尾 康   (札幌市)
  伴野 俊夫 (登別市)
自然現象の解説にあたり協力をいただいた方々(敬称略)
  綾塚(あやつか) 祐二 (東京都八王子市)
  佐竹 正治 (札幌市)
  谷口 恭   (札幌市)
  伴  禎(ただし)  (滋賀県大津市)
   
 
 
  
とくとく情報トップへ 自然現象トップへ 冬の観察ポイントトップへ 自然環境課トップへ