道南(夏)

 

 

道南(夏)


 

自然を楽しむための注意事項   詳しくはこちらへ looktop.gif
<自然を楽しむために>
 動植物を採取してはいけない場所などがある
<危険な動物や刺激毒を持った植物などに気を付けよう>
 野外には危険がいっぱいあることを認識することが重要です
  ・ヒグマに注意
  ・スズメバチに注意
  ・マムシに注意
  ・有毒を持った植物に注意
<動物を観察するために>
  ・エサを与えないで
  ・幼い野生動物は保護しないで
  ・ゴミは捨てないで
  ・エキノコックスに注意
<植物を観察するために>
 植物を観察するためであっても必要以上の採取は慎みましょう
<車の運転をするにあたって>
  ・スピードの出し過ぎに注意
  ・動物との衝突事故に注意
  ・夜間も注意 
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1 函館山
 【森林の植物 森林の鳥】
 所在地  函館市
 問合せ先 函館山ふれあいセンター 0138-22-6789
 
  津軽海峡に突き出た函館山(標高334m)は、その姿を遠くから眺めると牛が寝ている姿にも見えることから臥牛山(がぎゅうざん)とも呼ばれています。
  その昔は、津軽海峡に浮かぶ島だったものが、砂州の発達によって陸地と繋がったトンボロ(陸繋島(りくけいとう))といわれるもので、山頂からは、函館市街をはじめ東方の恵山や西方の松前方面、南方には津軽海峡を挟んで下北半島や津軽半島など360°のパノラマが広がっています。特に函館市街を望む夜景は、山麓の教会や寺院などの歴史的建造物とともに、有数の観光ポイントとして、広く道内外に知られています。
  山頂へ至るにはロープウェイや車道を利用するのが一般的ですが、函館山ふれあいセンター前から歩道が整備されており自然を堪能しながらのんびりと徒歩でも行くことが出来ます。また、山中には山頂に至る歩道のほか数多くの遊歩道が整備されており、函館山ふれあいセンター前の案内板でルートの確認ができます。
  函館山は明治中期から昭和20年頃まで立ち入りが制限されていたため、市街地に近いにもかかわらず豊かな自然が保たれています。山全体に自然林が多く残されているほか山麓には1808年頃植えられたと言われている杉の人工林が見られます。林内ではシジュウカラやアカゲラなどの留鳥や、オオルリ、キビタキ、エゾムシクイ、アカハラ、クロツグミなどの夏鳥も多く、秋には山頂部から、ルリビタキやワシ・タカ類などが津軽海峡を渡っていく様子を見ることができます。山頂部の千畳敷は草原になっており、草原の鳥を見ることができます。 1e.jpg函館市東山からの函館山
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  函館山の植物としては、道南らしいムラサキシキブやハナイカダが見られるほか、早春にはエゾエンゴサク、エンレイソウ、コジマエンレイソウ,スミレ類(タチツボスミレ、オオタチツボスミレ、ミヤマスミレなど)などが見られます。海岸の岩場にはハマボッスやエゾノヒナウスツボ、ハマナス、ハマエンドウなどの海岸の植物も見ることができます。
 また、函館山は、明治中期から要塞化が進められ、レンガ壁や砲台座などの戦事遺構が数多く残されており、北海道遺産に指定されています。
  ▲周辺地
 函館から七飯町大沼方面に向かう国道5号沿いには、道内では他に例を見ない見事なアカマツ並木があります。この並木は道の両側に約10km続き「アカマツ街道」と地元で親しまれ、日本の道100選に選定されています。
 また、七飯町桜町の平地には明治初年~3年に植林されたブナの人工林(ガルトネルブナ林)があります。
 

2 函館湾 
 【水辺の鳥】
 所在地  函館市~上磯町~木古内
 問合せ先 函館市0138-21-3111 上磯町0138-73-3111
 
 函館湾は国の天然記念物に指定されているコクガンの越冬地として知られており、秋から早春にかけて上磯町矢不来から木古内町泉沢の間の国道228号上から見られます。海岸の岩棚でアオサなどの海草類を採餌するコクガンのユーモラスな姿を間近に見ることができ、特に満潮時には国道のすぐ下まで近づくこともあります。干潮時には陸から100m程離れた岩礁上や、さらに遠くの海上にいる場合が多いので、観察には干満の時刻を確認しておくと便利です。また、冬のカモ類も多く、代表的なものとして、白い模様が目立つシノリガモやホオジロガモ、スズガモなどが見られます。時にオジロワシやオオワシなどの猛禽類(もうきんるい)を海岸で見ることもあります。 2e.jpg
コクガン
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周辺地
  上磯町茂辺地の茂辺地川の河口では、秋に遡上するサケがうち寄せる波頭を泳いでいる様子をシルエットで見ることができるほか、時には、波間をジャンプする勇姿も見られます。上磯町の戸切地川や木古内町泉沢の亀川でも小規模ですが遡上が見られます。
  上磯町当別にあるトラピスト修道院は、歴史的な観光名所として広く知られており、建物に一直線に向かうポプラ等の並木が道の環境緑地保護地区に指定されています。ポプラは北海道情緒を代表する木として知られており、周辺に植えられたマツなどとともに大木が見事に立ち並ぶ風景は周囲の牧歌的風景と相まって北海道の雄大さとこの地の歴史の古さを示しています。また、背後の丸山にはブナ林が断片的に残されています。
  

 
3 恵山(えさん)・恵山岬 
 【高山植物 森林の鳥 海鳥】
 所在地  恵山町・椴法華村(とどほっけむら)
 問合せ先 恵山町0138-85-2331 椴法華村0138-86-2111
 
  
  渡島(おしま)半島の東端に位置する恵山は今も絶えず噴気を上げている活火山で、恵山道立自然公園の主要利用拠点の一つです。標高618mの低山にもかかわらず、岩礫地であることや海霧に覆われる日が多いことなどの特別な条件下にあるため、イソツツジやガンコウラン、マルバシモツケなど寒冷地の植物、いわゆる高山植物が多く見られます。山麓のツツジ群落は特に有名で、5月中旬から6月中旬にかけてヤマツツジの花が山麓を朱に染めます。また、ピンクのスズラン形の花に赤い筋が入るサラサドウダン(ツツジ)が多いのもこの地域の特徴で、中には樹高が3mを超す木も多くあります。ムラサキヤシオ(ツツジ)やリョウブ、バイカツツジなどもこの地らしい植物です。恵山への登山歩道が整備されており、恵山町・椴法華村のどちらからも、比較的楽な山旅を楽しめますが、一部崩れやすい箇所がありますので足もとには十分な注意が必要です。また、ヒグマが出没することもあるので注意して下さい。山頂からは晴れていれば下北半島や噴火湾(ふんかわん)越しに室蘭が見えます。
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恵山火口付近
 車道の終点(駐車場)付近一帯には草原が広がっており、夏期にはホオジロやベニマシコ、ウグイス、ビンズイ、ツツドリなどが多く、その上をノスリやタカの仲間が飛ぶ様子を見ることができます。秋には山麓に広がるミズナラの実(ドングリ)を求めるカケスの群れも、時折見られます。また、椴法華側の急斜面には針葉樹のキタゴヨウ(マツ)の林があり、この種子を求めて高山の鳥であるホシガラスが飛来します。海岸は大きな崖となっているところが多く、崖の上にはミズナラの林やコハマギクなどの草原が広がっています。崖ではウミウやウトウなどが繁殖しています。
 秋から冬には海の鳥も多く、シノリガモやホオジロガモ、クロガモなどを見ることができるほか、時にはハジロカイツブリやオオハムの姿も観察できます。また、オオワシやオジロワシの飛来も年によってはあります。火山の恩恵により麓一帯には温泉が多く湧き出しており、特に椴法華村の「水無(みずなし)海浜温泉」は、海の中から涌き出ているものを露天風呂に仕立てたもので、全国的にも珍しく、温泉に入りながら磯の観察を楽しむことができます。
 ▲周辺地
  椴法華村から南茅部町(みなみかやべちょう)方面への海岸には、断崖が海にせまり、海岸植物の群落や岩礁と漁村、そして背後の山々がおりなす美しい景観が続きます。恵山町から戸井町(といちょう)に向かう旧国道は海べりを通っており、日浦(ひうら)灯台からは恵山の全景を眺めることができます。また、ラセイタソウという道南の海岸線ならではの植物も見られます。武井(むい)の島展望台では初夏にゼンテイカ(エゾカンゾウ)が咲き乱れます。恵山町女那川から函館に向かう道道函館恵山線の市町界(峠)の恵山側にはブナの保護林があり、散策路が設けられブナの大木を見ることができます。
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4 大沼国定公園 
 【森林の鳥 水辺の鳥】
 所在地  七飯町
 問合せ先 大沼国際交流プラザ0138-67-2170  北海道渡島支庁0138-47-9000(2981)
   
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大沼国定公園の大沼から、湖水に浮かぶ島々越しに駒ヶ岳を間近に望む風景は、道南を代表する観光地として有名です。公園内には駒ヶ岳の火山活動により形成された大沼、小沼、蓴菜沼(じゅんさいぬま)など数多くの沼があり、これらの岸辺にはハンノキやミズナラ林が比較的よく残されています。夏にはカイツブリやバン、マガモなどが繁殖しており、冬にはオオハクチョウやキンクロハジロ、カワアイサなどが見られるほかオジロワシやオオワシも時折姿を見せます。特に、早春(沼の氷が解ける前まで)には北上するオジロワシやオオワシが多く集まります。また、春と秋の渡りのシーズンにはカモ類の大群が飛来します。利用拠点の南大沼には島巡りの散策路が整備されているほか、沼を一周する車道に付帯する歩道を利用して、姿を変える駒ヶ岳や森林風景を楽しむことができます。また、湖岸のヨシ原ではオオヨシキリなどを周辺の森林ではオオルリやイカル、センダイムシクイ、クロツグミ、アカハラなどの鳥が見られます。
そのほか、宿野辺川近くの森林公園や日暮山には歩道があり、カラ類やキビタキなどが見られ、時にはクマゲラのドラミング(木を突くときに発生する音)やアカショウビンの声も聞くことがあります。日暮山の頂上からは、駒ヶ岳の雄姿を眺望でき、大沼、小沼を俯瞰できます。
 ▲周辺地
  駒ヶ岳は1929年(昭和4年)に大爆発があり、植生が殆ど失われましたが、70年が過ぎた現在は、山麓にはミズナラなどからなる広葉樹林が成立し、中腹では生育条件が悪いところに真っ先に進出する種類(パイオニア種)のカンバ類(シラカンバなど)やドロノキ、ヤマナラシなどが見られ森林が再生してきています。(近年小噴火が見られ、平成14年現在は噴火の危険があるため、入山禁止となっています。)
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駒ヶ岳
  

 
5 矢越岬(やごしみさき)周辺 
 【海鳥 海蝕崖】
 所在地  知内町(しりうちちょう)・福島町
 問合せ先 知内町 01392-5-6161  福島町 01394-7-3001
 
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  知内町涌元から福島町岩部に至る海岸線は断崖となっており、松前矢越道立自然公園に指定されています。5月末頃にはゼンテイカが断崖一面に咲き、黄色一色になります。津軽海峡に突き出す矢越岬は、その険しい断崖が人間の手が入るのを阻むかのようにそびえ立ち、周辺の奇岩等と相まって、荒々しく雄大な景観が広がっています。知内側からは小谷石まで、福島町側は岩部までそれぞれ道路が整備されていますが、小谷石と岩部の間には道路が整備されておりません。矢越岬へは、岩部港から周遊船が出ており、耳岩やシタン島などの奇岩を回りながら矢越岬へ至りますが、小谷石、岩部付近でも荒々しい磯の雰囲気を充分堪能できます。小谷石付近では、ミサゴ(ワシ)が魚を捕まえる様子やハヤブサが小鳥類を襲う様子が見られます。冬には海ガモ類や、アビ、カイツブリ類が見られます。5月~6月にかけてはイルカがジャンプする姿を陸上からも見ることができます。また、岩部付近では断崖を流れ落ちる「白糸の滝」「みさごの滝」を道路沿いから眺めることができるほか、岩部漁港近くには海岸を見渡せる展望台があります。
    
 
6 白神岬(しらがみみさき)
 【渡り鳥の通過地】
 所在地  松前町 福島町
 問合せ先 松前町01394-2-2275
   
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白神岬は、北海道の島嶼(とうしょ)を除く最南端の岬で、松前矢越道立自然公園の中にあり、この周辺は断崖が海岸まで迫る風光明媚な地域です。風が強いため、斜面は海岸草原となりそれに続いてイタヤカエデの風衝林(ふうしょうりん)となっています。鳥類の標識調査により、この地点が渡り鳥の重要な通過地点であることが判明しました。渡りは、早い鳥では8月初旬ころから見られ、特に10月上旬ころの晴れた日には、ヒヨドリやシジュウカラの大群が津軽海峡をはさんだ対岸の青森県竜飛岬をめざして渡っていく様子を見ることができます。また、それらの鳥をねらうハヤブサなどの猛禽類を見ることもあります。この付近の海岸では一年を通してウミウやカモメ類を見ることが出来、冬季には海ガモ類や数は少ないもののウミスズメ類、ウトウ、ウミガラスなどを見ることができます。
周辺地
  松前城はサクラの名所として有名で、城の周辺にはたくさんのサクラが植えられており、サクラ見本園もあります。付近には古くに植えられたスギ林も見られ、歴史的建造物などの文化・歴史的景観と自然的景観が融合し、北海道にあって本州的な雰囲気を感じることができます。
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白神岬付近の岩礁
 
 
7 土橋(つちはし)自然観察教育林
 【ヒノキアスナロ林 森林の鳥】
 所在地  厚沢部町(あっさぶちょう)
 問合せ先 厚沢部町 01396-4-3311
  
  厚沢部町の市街地にほど近い所にあるこの森では、ヒバと称される針葉樹のヒノキアスナロがまとまって見られます。ヒノキアスナロの北限は渡島半島中部の黒松内町付近となっていますが、まとまって残っているところは多くはありません。林内には歩道が整備されており、解説板も随所に設けられ森の雰囲気を気軽に楽しむことができます。この森では、シジュウカラなどのカラ類やキツツキ類などの森の鳥をはじめ、キビタキ、アオジなどの夏鳥が見られます。クマゲラの鳴き声や飛んでいる姿をよく見かけ、ときおりトドマツの老木をつついて餌を採っているのを見ることもあります。 7e.jpg
ミズバショウ群落
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 ▲周辺地
  厚沢部川河口の江差町砂坂には、強風で飛ばされる砂を防ぐために造成されたクロマツ林があり、植林後60年余り経過したすばらしい森で、日本の白砂青松100選に選ばれています。冬季に河口付近でノスリやオジロワシを見ることもあります。乙部町館浦にある館の岬では、国道から板状の餅を何枚も重ねたような白い整然とした地層が見られます。これは、海底に堆積した凝灰質砂岩互層(ぎょうかいしつさがんごそう)、火山礫灰岩(かざんれきかいがん)、粗粒砂岩層、軽石凝灰岩層が地殻変動により陸上に隆起した地層で、中新世の館層と呼ばれています。上ノ国町吉堀の道道江差木古内線吉堀トンネル近くの国有林には見事なブナの見本林があり、林内歩道が整備されています。
 
 
8 見市川(けんいちがわ)
 【サケの遡上】
 所在地  熊石町 
 問合せ先 熊石町 01398-2-3111
  
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岩礁の多い熊石町の海岸線にあって、鮎川海岸はめずらしく礫浜になっており海浜植物が見られます。鮎川海岸に注ぐ見市川河口では国道に架かる見市橋の上からサケの遡上を見ることができます。熊石町と八雲町を結ぶ国道沿いにある見市温泉付近から雲石峠付近にかけてブナ林を見ることができます。 
 
 ▲周辺地
  乙部町花磯・潮見地区の鮪(しび)の岬は岩が縦横に重なる安山岩柱状節理で、壁の上部は不整形で断面が蜂の巣状、その下半部は長さ8~12mの柱状となっており、ほぼ垂直に海へ達しています。岬の上部や斜面ではイタヤカエデやハマボッスなどの海岸断崖植生が見られます。夏、アオバトが海水を飲みに集まる場所となっており、それをねらってハヤブサが待ち構えていることもあります。大成町の長磯海岸は断崖のつくる海岸風景が続き、ゼンテイカなどの花も多くウミウなどの海鳥も観察できます。
 
 
9 奥尻島(おくしりとう)
 【広葉樹林 森林の鳥 海鳥 磯の生物】
 所在地  奥尻町 
 問合せ先 奥尻町 01397-2-3111
 
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  磯ではヒトデやウニ、ウミウシなどの海岸動物を観察する場所も多く、岩礁の隙間や岩の下にはカニ類が潜んでいます。江差と奥尻を結ぶフェリー上からミズナギドリ類やウミスズメ類などを観察することができます。なお、冬季はフェリーが欠航することもありますので、余裕のある日程を組む必要があります。
  日本海に浮かぶ奥尻島は、島の中央にブナ林が残されており直径が1m近いものもあります。広葉樹林の中で初夏にひっそりと咲くオクシリエビネ(ラン)は奥尻島の特産種で、是非見たい花です。海岸では段丘斜面や西海岸の斜面にエゾイタヤ林が見られ、ハマナスやハマエンドウ、ゼンテイカなど海岸草原に咲く花も多く見られます。さらに、道内では分布が限られるキタゴヨウが生育しています。動物では、タヌキの足跡を至る所で見かけ、特に夕方から夜間にかけては姿を見かける機会も多くなります。島の北東の弁天岬では海に迫る断崖にウミネコのコロニーがあり、岩棚や礫浜に営巣しているのを観察することができます。春の渡り鳥の時期には、ヤツガシラが立ち寄ることもあり、冬期にはワシ類が多く見られます。奥尻島を象徴する奇岩「なべつる岩」は有名で、展望台も整備され、夜はライトアップされます。また、西海岸には奇岩が多く、海に直接注ぐ滝もあります。
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オオセグロカモメの繁殖地(稲穂地区)
 
 
10 鰔沼(うぐいぬま(浮島))周辺
 【湿原の植物 水辺の鳥】
 所在地  北桧山町(きたひやまちょう)
 問合せ先 北桧山町 01378-4-5111
   
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浮島
鰔沼には、沼を一周する歩道が設けられており気軽に自然を楽しむことが出来ます。この沼は通称浮島と呼ばれ、水面にはハンノキの生える大きな浮き島があり、以前は風に吹かれて沼を移動していましたが、今はロープで岸につながれております。岸にはミズバショウやノハナショウブなどが生育する湿地があり、その背後にはヤチダモなどの湿地林やブナ林などが見られるほか、トドマツの人工林も見られます。沼やその周辺ではアカショウビンやカワセミ、バン、カイツブリ、樹洞で繁殖するオシドリも見られます。アカショウビンの姿を見る機会は少ないため、特徴ある鳴き声を頼りに探してみるのも一つの方法です。そのほかにオオルリやアカハラなどの夏鳥の声も聞こえてきます。トドマツの幹に小指ほどの太さで「の」の字を書いたようなのキズがあるものを見かけます。これはオオトラカミキリ(カミキリムシ)の幼虫の食痕跡で、加害された生木の中には立ち枯れてしまうものもあります。
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エゾイトトンボ
       
 
11 後志利別川(しりべしとしべつかわ)
 【サケの遡上】
 所在地  北桧山町
 問合せ先 北桧山町 01378-4-5111
             
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  後志利別川の河口近くの国道や道道の橋の上から10月頃から12月頃までサケの遡上を見ることができます。
  この川の河口周辺は砂浜海岸で、背後には砂丘が残されており、ハマナスやハマヒルガオなどの海浜植物を見ることができ、それに続いてイタヤカエデやミズナラ林が続いています。後志利別川の南にある太櫓川(ふとろかわ)の河口では魚類を主食とするワシ・タカ類を見かけることもあります。
 

  
12 遊楽部川(ゆうらっぷかわ)
 【サケの遡上 ワシ類】
 所在地  八雲町(やくもちょう)
 問合せ先 八雲町 01376-2-2111
  
  八雲町を横断する遊楽部川には多くのサケが遡上し、川岸や遊楽部川に架けられているどの橋の上からでもその勇姿を見ることが出来ます。河口近くを通過する国道5号の八雲大橋にはサケのデザインが飾りつけられ、橋の一部には張り出しが設けられており観察に便利です。この川では自然状態で産卵するサケも川岸から見ることができ、ホッチャレ(産卵後死んだサケ)を求めてオオワシやオジロワシが数多く飛来します。
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オオワシ
河口から上流の上八雲付近までの川沿いのヤナギやドロノキなどで羽を休めているのをよく見ます。また、河口から2kmほど上流にある立栄橋までの広いよどみでは、少数のオオハクチョウが越冬し、コガモなども見られ、海が荒れたときにはウミアイサなどの海鳥が避難してくることもあります。河口付近の海岸にはクロガモやホオジロガモが一般的に見られます。


 
13 美利河(ぴりか)・二股(ふたまた)自然休養林
 【ブナ林 森林の鳥】
 所在地  今金町(いまかねちょう)
 問合せ先 今金町 01378-2-0111
    
  今金町美利河から長万部町二股一帯にかけてはブナ林が比較的残されています。ブナ林を気軽に見るには今金町奥美利河温泉や長万部町二股温泉周辺が適しているほか、カニカン岳や長万部岳などの登山道周辺でもブナ林を楽しむことができます。ただ、この地域にはヒグマが多く生息しているので注意が必要です。これらの山の斜面ではブナ林のほか多雪環境特有の背の高いアザミなどの草原を見ることもできます。奥美利河温泉は山間の温泉で、ここに至る山道は平坦で、ブナのほかミズナラなどの大木もあり森の散策が楽しめます。この森ではキビタキやオオルリ、シジュウカラなどのカラ類のほかに、エゾリスも見ることができます。
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自然観察会
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 また、渓流にはイワナなどの渓流魚が生息しています。長万部町二股温泉は、天然のラジウムと石灰が含まれた温泉で石灰華ドームの奇観は全国的に有名です。
 
 
14 狩場山(かりばやま)・賀老(がろう)の滝
 【ブナ林 高山植物 森林の鳥】
 所在地  島牧村                                
 問合せ先 島牧村 01367-5-6211 
                                                             
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賀老の滝
生息しているので、登山や自然観察の際は注意が必要です。また、林道には急カーブなど危険な場所が多いため、車での通行に際してはスピードの出し過ぎに注意が必要です。
狩場茂津多道立自然公園の中に位置する狩場山一帯には1万7千haのブナ林が広がっており、狩場山登山道周辺や賀老の滝の遊歩道、北桧山町に通じる峰越の林道周辺で、見事な大木を見ることができます。狩場山山頂部付近にはお花畑がありイワイチョウやフギレオオバキスミレなどの高山植物やノゴマなどの夏鳥が見られます。賀老の滝へは歩道が整備されており、豪快な滝を眺めることができます。渓流ではカワガラスやキセキレイなどを、森林ではキビタキやコマドリ、オオルリなどを見かけます。林道を走行すると、ブナ林が次第にダケカンバ林に移行するのを見ることができます。それらの林の下では、シラネアオイやハクサンチドリなどの花も見られ、良好な森林環境がまとまって残されています。この地域にはヒグマが多く
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15 歌才(うたさい)ブナ林
 【ブナ林 森林の鳥】
 所在地  黒松内町
 問合せ先 黒松内町 0136-72-3311  黒松内町ブナセンター 0136-72-4411
                
 
黒松内町歌才地区にあるブナ林で「北限のブナ」として国の天然記念物に指定されています。ブナ自体はめずらしいものではありませんが、ブナの森は黒松内を境目として北にはありません。ここのブナ林にはミズナラが少し混じっていますが、ブナの「純林」と言われ、純林状態で自生していることが、学術的に評価されています。普通ブナの森は、山奥にありますが、歌才ブナ林は街のすぐ近くにあります。林内には往復約2時間程度の散策路が整備されており、入り口には宿泊施設やレストランなどもあり、気軽に北海道の冷温帯の広葉樹林を楽しむ地としては最適の場所です。森の手前にブナセンターがありますので、ここで自然情報を入手してから森を歩くことをおすすめします。春、林の下にはカタクリやキクザキイチゲ、エゾエンゴサクなどが咲き、5月中旬ころから新緑が始まり、萌葱色に染まる森の様子は見応えがあります。9月下旬ころから木々の紅葉がはじまり、10月中旬ころがブナの黄葉の見ごろで、下旬ころにはブナの葉が落ち始めます。冬期間は「かんじき」を履いて森を歩くのも面白いでしょう。なお、かんじきはブナセンターで貸し出し(有償 1日200円 平成14年1月現在)しております。
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ブナ
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森ではキビタキやキツツキ類などの鳥類、ブナの実を餌にするエゾリスなどが多く生息しています。
 
 ▲周辺地
  国道沿いに歌才湿原がありワタスゲやゼンテイカ、イソツツジなどが見られます。
  添別(そいべつ)ブナ林には、周回遊歩道が設けられており、約30分程度で回ることができます。ここのブナ林は70年程前に一度伐採されたあとに再生したもの(二次林)で、様々な太さのブナが見られ樹の肌の模様もはっきりしています。歌才のブナと比較してみるのも良いでしょう。朱太川には、アユが生息しています。
                                                                 
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