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最終更新日:2019年2月19日(火)

硝酸性・亜硝酸性窒素による地下水の汚染について


 概況

     硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素(以下「硝酸性・亜硝酸性窒素」という。)は、平成11年2月に水質環境基準健康項目に追加され、平成13年7月から水質汚濁防止法に基づく排水規制も実施されています。
     近年、本道でも農業地域における硝酸性・亜硝酸性窒素に係る地下水汚染が顕在化してきており、対策の実施が急務となっています。

 見出し 硝酸性・亜硝酸性窒素とは

     硝酸性・亜硝酸性窒素は、硝酸イオンのように酸化窒素の形で存在する窒素で、通常は環境中に広く低濃度で分布し、自然の窒素循環の中でバランスが保たれています。
     しかし、近年、全国的にも地下水中の濃度が高くなっており、一般的には、過剰な施肥や家畜排せつ物の不適正処理、生活排水の地下浸透などが原因であると言われています。

 見出し 硝酸性・亜硝酸性窒素による健康影響

     硝酸性・亜硝酸性窒素が飲料水などに多く含まれていますと、血液の酸素運搬能力を阻害するメトヘモグロビン血症を引き起こし、特に外国では乳児が死亡した例もあるなど、人の健康を害するおそれがあります。

      メトヘモグロビン血症
         「ヘモグロビン」は血液中の赤血球に含まれており、全身の細胞に酸素を運ぶ役割を果たしています。
         飲料水などに含まれた硝酸性窒素は、胃の中で細菌の働きにより一部が亜硝酸になり、血液中のヘモグロビンと結合して「メトヘモグロビン」となります。メトヘモグロビンは酸素と結合できず、酸素を全身に運ぶことができません。血液中のヘモグロビン総量に対するメトヘモグロビンの割合が10%以上になると、酸素供給が不十分となり、チアノーゼ症状を引き起こします。これが「メトヘモグロビン血症」です。
         硝酸性窒素を亜硝酸に変える細菌は、酸性条件下では活動が抑制されるため、胃酸のpHが2~3である大人ではほとんど起こりませんが、乳児は胃酸の分泌が少ないため、亜硝酸が生成しやすいと言われています。乳児のメトヘモグロビン血症は、欧米においては死亡例も報告されていますが、国内での発症事例は現在のところ報告されていません。

 見出し 水質調査結果

     北海道では、平成11年度から硝酸性・亜硝酸性窒素に係る地下水の常時監視を実施しており、平成13年度までに、主に農業地域において汚染が広がっていることが判明しました。
     また、道立保健所では、住民の皆さんなどからの依頼により持ち込まれた井戸水(飲用・生活雑用・散水用などに使われています。)を有料で水質検査していますが、この水質調査結果と地下水の常時監視結果をあわせて下表のとおり取りまとめました。

      地下水の常時監視
         地下水の汚染を早期に発見するとともに、汚染範囲や経年変化等を把握し、必要な対策の資料を得ることを目的に、既存の井戸を利用して次の区分により水質調査を実施しています。
         測定結果は、各(総合)振興局から井戸所有者のほか関係市町村、関係保健所に通知され、汚染が判明した飲用井戸については、必要な指導が行われるとともに、毎年度、「地下水の水質測定結果」として取りまとめ、公表しています。

        1. 概況調査・・・地域の全体的な地下水質を把握するために実施する調査
        2. 汚染井戸周辺地区調査・・・概況調査で発見された汚染について、その汚染範囲を確認するために実施する調査
        3. 継続監視調査・・・汚染井戸周辺地区調査で確認された汚染の継続的な監視等、経年的なモニタリングとして定期的に実施する調査


    図1 調査結果の概要
       → 環境基準値以内(10mg/l以下)のもの
       → 環境基準値を超過した(10mg/lを超える)もの
    画像調査結果の概要

    図2 高濃度井戸の分布状況
       → 30mg/lを超え、50mg/l以下のもの
       → 50mg/lを超えるもの
    画像高濃度井戸の分布状況
     
  • 硝酸性・亜硝酸性窒素による地下水汚染は、網走・胆振・空知・十勝・渡島支庁など道内の畑作地域を中心とした広い地域で確認されており、特に網走支庁の超過率が他支庁に比べ高い傾向にあり、濃度も高い。
  • 網走支庁管内で行った主要イオン類の分析結果などから、主な汚染原因は窒素肥料の施肥に由来すると想定される。

    支庁 調査井戸延数 超過井戸延数 >30mg/l >50mg/l 超過率
    石狩    933     22    1     2.4%
    渡島   1,136     34       3.0%
    檜山    247          0%
    後志    370     7       1.9%
    空知    771     28    1     3.6%
    上川   1,435     18       1.3%
    留萌    140          0%
    宗谷     85          0%
    網走   1,089    334   39   18  30.7%
    胆振    987     54    2     5.5%
    日高    265          0%
    十勝   1,452     48    4     3.3%
    釧路    421     1       0.2%
    根室    197          0%
    全道   9,528    546   47   18   5.7%
     
      注1 : 上表は、平成11年度から13年度までの3ヶ年の調査結果
      注2 : >30mg/lとは、超過井戸数のうち、30mg/lを超える井戸の延数
      注3 : >50mg/lとは、超過井戸数のうち、50mg/lを超える井戸の延数
      注4 : 超過率は、調査井戸延数のうちに超過井戸延数が占める割合

     見出し 汚染地区等に係る今後の対応

    • 応急対策 【飲用井戸対策(保健所、関係市町村衛生担当部局、水道事業者等が連携)】

       硝酸性・亜硝酸性窒素が飲料水中に多く含まれていると、特に乳児は、血液の酸素運搬能力が阻害され健康を損なうおそれがあることから、乳児がいて井戸水を飲用している家庭に対しては、市町村の協力を得ながら、注意を喚起し、乳児の飲用水には水道水やミネラルウォーターなどの汚染されていない水を用いるよう指導しているところです。
       お問い合わせ先:最寄りの保健所又は環境政策課水道グループ

    • 恒久的対策

       道では、平成14年度から「農用地環境保全緊急対策事業」を実施し、市町村や関係団体との協議会の開催、平成14年度中の緊急営農マニュアルの作成、肥料減量化技術の確立・指導普及などの必要な対策を進めています。
       また、水道未普及地域の解消も促進することとしています。