北海道文化振興指針

北海道文化振興指針

-地域文化の創造と生活文化圏の構築をめざして-

 平成6年8月10日決定

 令和5年3月30日改正

はじめに

1.文化振興の目標

 私たちの郷土-北海道には、古くからの歴史的な文化や先住のアイヌの人たちによって培われてきた文化が存在しています。さらに、全国各地から移り住んできた人たちの文化を受け継ぐとともに、明治の開拓期におけるアメリカをはじめとする諸外国の影響を受けた文化を取り入れるなど、開放的で多様性のある文化が育まれてきました。

 近年、人々の生活意識や価値観の多様化などにより、物質的・経済的な豊かさだけではなく、日常の暮らしの中にゆとりや潤いといった「心の豊かさ」が一層求められています。
 文化は、豊かな人間性を涵養し、想像力と感性を育むとともに、文化的な伝統を尊重する心を育てるものです。また、人間相互の理解の促進や、質の高い経済活動につながるものであり、これからの人々の生活の充実と地域の活性化に、ますます大きな役割を果たすようになると考えられます。
  
 北海道は、鮮やかな四季と雄大な自然に恵まれた地域です。この北海道を、道民一人ひとりが心の豊かさを実感でき、多様性に満ちた活力ある地域社会とするため、優れた自然環境、独自の歴史、多彩な生活様式などに根ざした個性的な地域文化への理解を深め、次世代に確実に継承していくとともに、新たな地域文化を創造・発展させ、文化により生み出される様々な価値を活用し、全ての人々が等しく文化の恵沢を享受することができる生活文化圏を築いていくことを目指します。

2.北海道文化振興指針の位置付け

 本指針は、「北海道文化振興条例」第6条に基づき、道の文化振興施策の基本となる指針として策定します。
 また、本指針は、次の計画の性格を有するものです。
 ・ 文化芸術基本法第7条の2に規定される地方文化芸術推進基本計画
 ・ 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律第8条に規定される地方公共団体の計画 
 ・ 「北海道総合計画」が示す政策の方向性に沿って策定、推進する特定分野別計画

 なお、本指針は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の以下のゴール(目標)の達成に資するものです。
 ・ゴール4(ターゲット4.7)
 ・ゴール11(ターゲット11.4)

第1章 基本理念

 道は、地域文化への理解を深め、次世代に確実に継承していくとともに、新たな地域文化を創造・発展させ、生活文化圏を構築するため、次の基本理念に基づき、文化振興施策を推進し、文化行政の充実を図っていきます。

1.一つひとつのまちを表情豊かにする

 それぞれの地域の特色に応じた多様な文化を掘り起こし、一つひとつのまちを表情豊かにする地域文化を育んでいきます。

2.地域を結び地域と世界をつなぐ

 地域間の文化交流や世界の様々な文化とのふれあい・交流を進めることにより、地域と地域を結び、地域と世界をつなぐ文化を育んでいきます。

3.自然と共生し伸びやかな文化を育む

 自然とともに生きてきた先人たちの知恵や創意に学びながら、自然を守り、自然と調和のとれた伸びやかな文化を育んでいきます。

4.北海道らしい文化を発信する

 北海道の自然、歴史、生活様式などに根ざした北国らしい個性的な地域文化を創造し、内外に誇りをもって発信していきます。

5.先人の培った文化を受け継ぎ次代に伝える

 先人たちの努力によって培われてきた貴重な文化を受け継ぎ、大切に守り育て、次の世代に伝えていきます。

第2章 文化行政の基本的な考え方

道の文化振興施策は、次に掲げる「基本的な考え方」に基づき、総合的・効果的に進めていきます。

1.次世代へ文化を「つなぐ」

 文化の担い手は一人ひとりの道民であり、年齢、性別、障がいの有無などに関わらず、全ての道民がいかなる時でも等しく文化活動や芸術鑑賞など広く文化に接することができる環境を整備します。

 特に、将来を担う子どもたちについて、文化に接する機会の確保や世代間の交流などを通して、創造力や感性、文化的な伝統を尊重する心を育み、先人たちが培ってきた文化を次世代へと着実に「つなぎ」ます。

2.文化を通じて地域の魅力を「たかめる」

 文化を通じた様々な地域との交流の促進や、国内外への効果的な情報発信、デジタル技術の活用などにより、文化活動を充実させ、地域の魅力をさらに「たかめ」ます。

3.文化を活用し未来を「きりひらく」

 今日まで守り伝えられてきた地域の文化を保存、継承し、観光やまちづくり、教育など関連施策に活用することにより、地域を活性化させ未来を「きりひらき」ます。
 

第3章 文化振興施策の推進

 道は、関係機関等と相互に連携しながら、次の事項を「文化振興のための基本的な施策」として推進します。

1.道民の文化活動の促進

(1)文化活動への参加機会の拡充と参加意欲の向上

 文化芸術は人々の活力や社会の成長の源泉となるものであり、地域の特色を生かした様々な文化活動を継続し、より一層促進していく必要があります。
   このため、道民の自主的な文化活動への参加機会の拡充と参加意欲の向上を図ります。

<施策の方向>

  • 道民の自主的な文化活動の充実を図るため、文化団体の活動の活性化や、専門的な立場からの指導・助言、活動発表の場の拡充に取り組むとともに、著名な作者を数多く輩出するといった優位性のあるまんがやアニメなど、メディア芸術の振興を図ります
  • 障がいのある人の文化芸術作品の創造や発表の機会を充実し、誰もが参加できる多様な文化活動を促進します。
  • 社会経済情勢の変化等が生じた際にも文化活動を制限されることのないよう、文化団体等の活動基盤の強化に努めます。

(2)文化に関する顕彰

 文化活動を行っている人々の功績が社会から評価されることは、道民の文化に対する関心や活動意欲を高め地域文化の発展を促進します。
 このため、文化に関する顕彰を行います。

<施策の方向>

  • 文化の振興に顕著な功績のあった個人・団体や地域に根ざした文化活動を活発に行っている個人・団体を顕彰します。

2.芸術鑑賞等広く文化に接する機会の拡充

 文化芸術は、人々に感動や共感、ゆとりや潤いなど様々な恩恵をもたらしてくれるものであり、特に、子どものころから優れた文化芸術に接することは、豊かな心や感性を育む上で非常に効果的です。
 このため、北海道の広域性にも配慮しつつ、芸術鑑賞等広く文化に接する機会を提供します。

<施策の方向>

  • 道内の各地域において、芸術鑑賞等の機会を提供する文化事業を実施します。
  • 次世代を担う子どもたちが優れた文化を直接鑑賞・体験する機会を確保します。
  • 障がいのある人の芸術鑑賞等の機会を拡大するため、障がいの特性に応じた利用しやすい環境の充実に取り組みます。
  • オンラインの活用を推進するなど、文化に接する機会の充実に取り組みます。

3.文化活動を担う人材の育成

 先人たちが培ってきた貴重な文化を継承し、発展させるためには、地域文化の担い手はもとより、多様で高い専門的技術を有する人材を育成・確保することが必要です。
 このため、子どもの頃から、地域の歴史や文化を尊重する心を育むなど、中長期的な視点に立って文化活動を担う人材の育成に取り組みます。

<施策の方向>

  • 青少年が行う文化活動を推進します。特に、子どもたちが優れた文化を直接鑑賞・体験する機会の確保に取り組みます。
  • デジタル技術を用いた新たな表現など、若手芸術家等の創作・発表活動の推進に取り組みます。
  • 地域文化の担い手を育成・確保するため、指導者の派遣や招へいに取り組みます。
  • 市町村や文化団体等と連携して、地域文化に熟知し、文化活動を支える専門的人材の育成・確保に取り組みます。

4.文化交流の促進

(1)地域における交流の充実

 様々な地域や世代との文化交流は、人と人との心のつながりや相互理解を促進するとともに、地域の歴史・文化に対する理解を深め、地域への愛着や誇りの醸成に寄与します。
 このため、文化活動を通じた道内外の地域との交流や、世代間の交流を充実します。

<施策の方向>

  • 道内外の地域との文化活動の相互交流を推進します。
  • 世代間の交流を推進するため、子どもたちが地域の文化活動に参加する機会の充実に取り組みます。

(2)世界との文化交流の促進

 世界との文化交流は、海外からの誘客や、地域の文化施設、文化資源の多言語化につながるとともに、新たな文化を創造する活力になります。
 このため、世界との文化交流を促進します。

<施策の方向>

  • 姉妹友好提携を結ぶ地域をはじめとする外国との文化交流や、海外の芸術家、文化人などによる幅広い文化交流活動を推進します。
  • 北海道の文化の魅力を、海外公演などの文化活動や国際的なイベントにおいて紹介する取組を推進します。

5.文化環境の整備及び充実

 年齢、性別、障がいの有無などに関わらず、全ての道民が、いかなる時でも等しく文化活動や芸術鑑賞など広く文化に接するためには、文化ホールや博物館、美術館等の文化施設の機能を充実させることが必要です。
 また、博物館や美術館等は、文化芸術の保存・継承のみならず、地域の文化に対する理解を深め、その魅力を伝える拠点としての役割も有しています。
 このため、文化施設の機能の充実を図ります。

<施策の方向>

  • 施設のバリアフリー化など障がいをもつ方への合理的配慮の提供などの取組を推進します。
  • 展示内容や案内表示等の多言語化の取組を推進します。
  • 収蔵品のデジタルアーカイブ化やオンライン公開を推進します。

(2)文化情報の発信

 文化活動の促進を図るとともに、地域文化に対する理解・関心を高めるため、文化に関する情報を広く発信します。

<施策の方向>

  • 文化施設や文化活動、生活文化や生涯学習などに関する情報を収集・発信します。
  • 文化に関する情報の多言語化や一元化など、効果的な情報発信に取り組みます。
  • 北海道の歴史・文化の魅力を、デジタル技術を活用するなどして、世界に広く発信します。

6.歴史的文化遺産の保存及び活用

 長い歴史の中で生まれ、継承されてきた有形・無形の文化財や生活習慣などに根ざした文化は、北海道の歴史や文化等を深く理解する上で欠くことのできないものであり、さらなる文化の向上・発展の基礎となるものです。
 また、各地域において、文化資源を活用した観光施策の推進や地域づくりなどの取組が広がっています。
 このため、歴史的文化遺産の保存及び活用に取り組みます。

<施策の方向>

  • 北海道の歴史を伝える文書などの収集、整理を進めるとともに、歴史的文化遺産の調査を進めます。
  • 文化財に触れ、地域の歴史や文化等を深く理解することができるよう、文化財の保存・継承や鑑賞機会の確保に努めます。
  • 歴史・文化を活かしたまちづくりや新たな観光コンテンツの充実など、地域の文化財を地域振興や観光振興に活用する取組を促進します。
  • 関係機関等と連携・協働の上、世界文化遺産である「北海道・北東北の縄文遺跡群」の価値を継承・発展させ、地域に交流と賑わいを創出します。
  • アイヌ文化を次世代に継承し、将来に向けて創造・発展させていくため、調査研究や保存・伝承、普及・啓発の取組を促進するとともに、ウポポイをはじめとするアイヌ関連施設と連携し、各地域の活動の活性化を図ります。

7.文化性に配慮したまちづくりの推進

 道民が暮らしの中にゆとりや潤いといった心の豊かさを実感でき、文化的で活力ある社会を構築するためには、文化の振興に加え、美しい景観の形成や快適な生活環境、自然との共生などに配慮したまちづくりを進める必要があります。

<施策の方向>

  • 地域の文化財の積極的な保存・活用により、歴史、文化を活かしたまちづくりを推進します。
  • 住宅地の景観、田園の景観、市街地の景観、文化的景観、自然景観など「良好な景観」が北海道全体に形成され、お互いが共鳴し合いつながり合って、それぞれの魅力が光り輝き、そして時を経て成熟していく美しい景観の形成を目指します。
  • 安心して暮らし続けられるだけでなく、地域資源が有効に活かされ、魅力的で暮らしやすく、外からも人を呼び込み、地域が活性化するようなまちづくりを目指します。
  • 先人たちから受け継いできた豊かな自然を維持するため、自然との共生を基本とした環境の保全と創造に取り組みます。
  • 関係機関や住民の理解と協力を得ながら都市の「みどり」の保全や整備、質の向上や有効活用を図って、道民の健康で文化的な都市生活を確保します。

第4章 推進体制等

1.各主体の役割

 北海道における文化振興施策を推進していくためには、市町村、文化振興を目的とする法人・団体等、文化団体、民間企業等の各主体がそれぞれの役割を果たすとともに、相互に連携・協働していくことが重要です。

 (1) 北海道
   芸術文化基本法その他関係法令に基づく地域計画等を作成し、公表します。
   また、道民の自主的な文化活動の推進など「文化振興のための基本的な施策」を総合的かつ効果的に推進するため、観光やまちづくり、国際交流など関連施策との連携を図るとともに、各主体との連携・協働を促進します。

 (2) 市町村
   文化芸術に関する計画を策定し、地域の個性を活かした文化振興や、文化資源を活用した施策を実施することが求められています。

 (3) 文化振興を目的とする法人、団体等
   文化振興を目的として設立された法人やNPO等は、文化活動や文化団体への支援、文化事業の企画など、文化振興に寄与する活動が期待されます。
   特に(公財)北海道文化財団は、道内の文化振興の中核的役割を担っており、道内各地域での事業展開や協力体制の構築に積極的な役割を果たすことが期待されます。

 (4) 文化団体
  文化施設と連携し、文化活動の充実を図るなど、文化の継承、発展及び創造に積極的な役割を果たすことが期待されています。

 (5) 民間企業等
   企業の社会的責任の一つとして、地域の文化活動の支援のみならず、文化団体や文化施設の運営に対して一層支援することが期待されています。

2.北海道文化基金の活用

 文化の振興を図るために必要な事業に要する経費の財源として活用します。

3.進行管理

 国の文化芸術推進基本計画の期間にあわせて、文化振興に係る数値目標を設定し、文化振興施策の検証・評価を行います。
 また、社会経済情勢の変化や関係法令の改正、国の文化芸術推進基本計画の改定などを踏まえ、必要に応じて見直しを行います。

 

 

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