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最終更新日:2013年7月10日(水)


北の縄文フォーラム


 ◆縄文からのメッセージを世界へ―縄文世界遺産推進室◆

北の縄文フォーラム2013

「土偶を語るー縄文人の心に迫るー」の開催 

 縄文世界遺産推進室では、縄文文化の特徴と価値、そして「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の世界遺産登録推進の取組への理解を深めていただくため、平成25年3月23日(土)に、ホテルポールスター札幌 2階「セレナード」において、「北の縄文フォーラム2013」を開催し、縄文研究の第一人者の國學院大學の小林達雄(こばやしたつお)名誉教授をはじめ、山形県立博物館の押切 智紀 学芸員、MIHO MUSEUM の中村 大 客員研究員(当時)から、縄文文化の高い精神性を代表する遺物の一つである土偶(どぐう)についてお話しいただきました。会場には、定数150名のところ、203名と多くの方々にお越しいただきました。
 ご来場いただいた方々に心からお礼申し上げます。また、席が狭いなど、ご来場いただきました方々にご不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます。気持ちよくご覧いただけるよう運営方法を改善して参りますので、今後もご参加賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。

◆事業紹介- 「縄文世界遺産推進の取組み」 
 
北海道環境生活部暮らし安全局文化・スポーツ課縄文世界遺産推進室から、現在までの縄文世界遺産推進の取組についてご説明させていただきました。

 説明概要(こちらをクリック) 


◆基調講演-「北の縄文の世界観とその価値、今後の可能性」
 國學院大學の小林達雄(こばやしたつお)名誉教授から、「北の縄文の世界観とその価値、今後の可能性」と題してお話しをいただきました。

小林達雄先生ご講演の模様

小林達雄先生 ご講演の模様

<ご講演要旨>

◆縄文文化は、日本列島全域に広がっていましたが、画一的ではなく、各地に個性的な文化圏がありました。北東北3県と北海道は、縄文時代全体を通して、1つの文化圏を形成しており、日本列島全体に広がる縄文文化の先導的な役割を果たしていました。

◆縄文人の道具には、人間の生活の維持に関わるような道具(第一の道具)とは異なる、土偶を筆頭とする、すぐにはその使途が判然としないような道具(第二の道具)があり、このような第二の道具こそが、縄文文化の個性をとてもよく物語るものです。

◆草創期から前期までの土偶には顔が表現されておらず、土偶は、女性ではなく精霊を写し取ったものであると考えられます。人間の性を超越した存在であるからこそ、儀礼や呪いにおいて力を発揮してくれるのです。

◆中期になると、土偶に顔を表現する、「壊される」ようになる(ただし、北海道の土偶は「壊れた」もの)、草創期から前期までより大型の土偶が作製されるようになるなど、土偶が持つ意味や与えられる役割には、時期や地域等によって「揺らぎ」があるのです。

◆さらに、壊れた後の他の部位が遺跡の外部に持ち出される土偶と遺跡内に留まるものがあるなど、土偶にはいろいろな差異があるということが分かっています。このようなことも念頭に置きつつ、土偶をよくよく眺めていただければと思います。

 ご講演概要(こちらをクリック)

[講師紹介] こばやし たつお:
 1937年新潟県生まれ。國學院大學大学院博士課程終了、文学博士。文化庁文化財調査官、國學院大學文学部教授等を歴任。縄文人の世界観から土器文様を読み解くなど従来にない視点から問題提起を続ける縄文研究の第一人者。現在は「縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会」委員のひとりとして縄文遺跡群の世界遺産登録に尽力、また英国「セインズベリー日本藝術研究所」の教授・学術顧問として縄文文化を世界に紹介する仕事に取り組む。


報告1「国宝『土偶』のニューフェース”縄文の女神”について」
 山形県立博物館の押切智紀(おしきり ともき)学芸員から、昨年新たに国宝となった土偶「縄文の女神」や
出土した西ノ前遺跡についてお話しをいただきました。

<ご講演要旨>

◆山形県西ノ前遺跡出土の「縄文の女神」ですが、平成24年9月6日付け官報告示により国宝に指定されました。土偶1点(国宝)と土偶の破片である残欠資料47点(国宝附)の計48点がその対象となります。

◆西ノ前遺跡については、今から20年前に、国道13号線の道路改修工事に伴う緊急発掘調査が山形県教育委員会により行われ、住居跡、「フラスコ状土坑」や「落ち込み遺構」など、縄文時代中期前葉から中葉にかけての集落の様子が明らかとなりました。

◆「縄文の女神」は臀部、脚部(右脚及び左脚)、胸部、頭部の5つのパーツに分かれて発見されました。写実的な表現の部分もありますが、腕や顔はありません。全体的に赤色であり、表面は丁寧に研磨されて、うっとりと見とれてしまうような姿をしています。

◆西ノ前遺跡では、住居や土坑が環状に配置されており、これは近隣の遺跡でも共通した特徴です。また、「縄文の女神」と同時期の南東北の土偶についても、自立するように作製し、顔がないこと、デザインや出尻形という形状等に共通性が見られます。

◆縄文の女神は、南東北を中心に発展した出尻形の土偶です。その造形は緻密かつモダンで、他の土偶と一線を画しています。今後も山形の宝、県民の宝として活用され、注目されて、山形の誇りとして県民の心に浸透していけばと思います。

 ご講演概要(こちらをクリック)

[講師紹介] おしきり ともき:
 1968年山形県生まれ。今年度国宝に指定された、同県舟形町西ノ前遺跡の土偶を保有する山形県立博物館にて考古学を担当。

押切氏及び中村氏ご講演の模様

押切氏及び中村氏 ご講演の模様


◆報告2「土偶・コスモス-MIHO MUWEUM特別展より」
 滋賀県にあるMIHO MUSEUMの中村 大(なかむら おおき)客員研究員(当時)から、昨年に同館で開催された土偶の特別展示の模様や土偶の読み解きなどについてお話しをいただきました。

<ご講演要旨>

◆昨年、滋賀県甲賀市にあるMIHO MUSEUMで「土偶・コスモス」と題し、日本で最大規模の縄文土偶の特別展示を開催し、3ヶ月で約6万8千人の方々に縄文土偶の美しくユニークなデザインを楽しんでいただくことができました。

◆国宝土偶が注目を集める大きな理由は、なんといってもその優れた造形美です。巧みなバランス、美しいライン、繊細な装飾、入念な磨きや彩色など、その工芸技術の高さは美術品と呼ぶにふさわしい出来栄えで、超一流の存在であることを改めて実感しました。

◆土偶を広く眺めてみると、土偶の両手のポーズが、北海道から関東・北陸まで共有されているなど、広い地域を結ぶ情報ネットワークが存在していたことを示していますが、土偶の表現で重要視されていたのは、性別よりポーズにあるような気もします。

◆何か目に見えないものを表現しようとして創意工夫を続けてきたこと、あるいは機能の違いが、土偶の多様な形態の一因になったかもしれません。土偶が何者かということについては、いろいろな特徴からもう少し慎重に考えていく必要があるように思います。

◆今後は、英国のセインズベリー日本藝術研究所による事業で、日本考古学の英語教材を作成し、英国の学生に日本の歴史を学んでもらおうとする、非常に挑戦的な企画をとおして、魅力的な日本の歴史、文化というものを世界に広く知らせていきたいと思います。

 ご講演概要(こちらをクリック) 

[講師紹介] なかむら おおき:
 1967年秋田県生まれ。國學院大學大学院文学研究科修士(歴史学)。國學院大學文学部兼任講師、英国セインズベリー日本藝術研究所、人間文化研究機構総合地球環境学研究所プロジェクト研究員などを経て、昨秋関西を中心に多数の入場者を集めたMIHO MUSEUM(滋賀県)の「土偶・コスモス」展で企画・運営に携わる。


◆演奏 「縄文太鼓」
 手鼓演奏家の茂呂 剛伸(もろ ごうしん)氏に、自ら製作した縄文土器にエゾシカの皮を張った「縄文太鼓」をご演奏いただきました。いろいろな音のバリエーションを奏でられ、縄文の情熱と躍動を感じることができる迫力あるご演奏を披露されていました。

茂呂剛伸氏ご演奏の模様

 茂呂剛伸氏ご演奏の模様

 演奏後のコメント概要(こちらをクリック)

[奏者紹介] もろ ごうしん:
 1978年北海道江別市生まれ。鼓章流どさんこ太鼓に入門、道内をはじめ世界各都市で演奏活動を行う。その後、西アフリカ発祥のジャンベ太鼓に惹かれ、ガーナに渡ってジャンベの演奏・製作を学ぶ。東京新国立劇場「ハンブルク・パリオペラ座バレエ公演 融(とおる)」シリーズで高い評価を得る。縄文文化を舞台芸術に取り入れた創作を行う原子修(はらこ おさむ)氏との出会いから、縄文太鼓の製作と演奏を始め、北海道から縄文文化を発信、「未来に向かって縄文にかえる」をテーマにした創作活動を行う。
 


◆アンケート結果
 
ご来場いただきました方々に、アンケートにお答えいただきました。結果は以下のとおりです。

〇ご来場いただきました方々

性別  20代 30代 40代 50代 60代以上 不明 合計
男性 

 

1人

5人

8人

55人

 

69人

女性

1人

2人

3人

6人

15人

1人

28人

小計

1人

3人

8人

14人

70人

1人

97人



〇セミナーを知ったきっかけ(重複回答あり)

広報媒体

人数

チラシ 

37人

新聞広告

31人

北海道庁ホームページ 12人
北海道庁ブログ

3人

北海道のメールマガジン

3人

Face book 

3人

Twitter   
友人・知人からの口コミ

15人

その他 ※2 

10人

 ※2 北海道文化財保護協会「文化情報」、道民カレッジホームページ、さっぽろ縄文探検隊通信というご回答がありました。
   


〇今回のセミナーの内容

回答内容

人数

良かった

83人

普 通

8人

もの足りなかった ※3

2人

未回答

6人

 ※3  1人は「良かった」、1人は「普通」との重複回答です。
   (ご意見内訳)
    ・もう少し土偶のお話が聞きたかった。    ・動画によるプレゼンがあると良いです。


〇世界遺産登録への取組等に関する知識

回答内容

人数

知っていた

59人

一部知っていた(聞いたことがあった)

21人

今日知った

17人


〇主なご意見・ご感想

 <このフォーラムに関するご意見>

・縄文をよく理解することができた。もっと知りたくなしました。この企画を続けてください。

・専門の方々のお話により、縄文、土偶というものについて認識を新たにすることができました

・世界遺産登録までの流れも聞くことができて、よく理解できました。

・縄文太鼓の多彩な音や迫力に驚き、響きに感動しました。はるか縄文の魂が蘇るようでした。縄文人も音楽を楽しんでいたのか、音を出す土器などもあったのか、知りたいと思いました。

・チラシをさっぽろ駅の「どさんこプラザ」や区役所のイベント情報コーナーにも置いてほしい。

・会場設営について、一部の人のみ机があり、他の人はイスのみという対応は改善すべき。また、イスが接近しすぎです。

・先生方への質問の時間を設けるべきです。

 

 <世界遺産登録推進に関するご意見>

・世界遺産に登録されることを願っています。

・「世界遺産」制度自体に反対です。このような反社会的なものに関与すべきではない。屋久島、白神、知床の現状を見るべきです。

・世界遺産になった際には、当然観光客が増加しますが、皆さんに観てもらうことと遺跡の管理をどのように両立させるのかが心配です。

 

 <今後の取組に関するご意見>

・世界遺産登録への気運を盛り上げるために、若い世代を巻き込む工夫、仕掛けをお願いします。

・大人だけではなく、子どもたちにも楽しく知る機会を作る工夫をしてはいかがでしょうか。

・MIHO MUSEUMの展示と類似の展覧会、北海道開拓記念館で国宝土偶4体の展示を開催してほしいです。

・「縄文遺跡群の世界遺産登録」推進は、まだまだPR不足だと思います。

・年度末の3月に縄文強調月間を設けるのはどうかと思います。4月から5月に重点的に行い、1年間を進めていく方がよいのではないかと思います。

・縄文のストラップ、キーホルダーなどもあるとよいと思います。

 

 <北の縄文文化に関するご意見>

・縄文人の世界観を示す土偶はまだ謎の部分が多く、また、美術品としても完成度が高いので、重要文化財、国宝指定も当然なのかもしれません。北海道から北の文化を発信できることは素晴らしいことです。

・縄文文化の素晴らしさと我々がその子孫であることの誇りを一層強くしました。

・温故知新の諺にもありますが、歴史ありて、私達があるとの心得が大切であると感じました。・縄文時代は争いがなかったと聞いたときから、関心を持ち続けています。

   多くの方々にお答えいただき、また多くの貴重なご意見を賜り、厚くお礼申し上げます。 
 これからも、多くの方々のご意見をいただきながら、縄文遺跡群の世界遺産登録を目指した取組を進めて参りますので、皆様のご理解とご協力を何卒よろしくお願いいたします。

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