北海道屋外広告物管理指針 解説


第1 趣 旨
   この管理指針は、広告主、広告主から委託を受ける等により、屋外広告物(以下「広告物」という。)を表示し、又は掲出物件を設置する者及び当該広告物又は掲出物件を管理する者(以下「行為者等」という。)が広告物又は広告物を掲出する物件(以下「広告物等」という。)の適切な維持管理を自主的に行うために必要な点検項目及び対応策を示し、広告物等の安全性の確保及び良好な景観又は風致の維持を図ることを目的とする。

1-1 屋外広告物に対する社会的な背景

 都市にゆとりとうるおいを求める意識は、近年、きわめて多くの人々に広がってきています。なかでも、優れた都市景観は、そこに生活する人々に喜びややすらぎ、誇りを与え、都市を訪れる人々に大きな魅力を感じさせます。
 美しく個性豊かな都市景観は、都市全体の評価をも高めるものであり、将来に向けて残すことのできる貴重な文化でもあります。さらに、国際化の進展の中で、世界的な評価に値する都市美の実現をめざしていくことも必要となってきています。本道における良好な都市景観の形成は、今日、大きな課題となっています。
 また、豊かで美しい自然の景観や環境は訪れる人々にうるおいとやすらぎを与え、健康で文化的な生活を営むうえで欠くことのできないものの一つです。
 本道は広大で優れた自然に恵まれています。この自然環境の保全に努めながら北海道らしい自然とのふれあいの場をつくりあげることは、本道の今後の大きな課題です。

 さて、屋外広告物は、広く人々の生活に必要な情報を提供するものとして、経済活動や文化活動など日常の様々な活動に欠くことのできないものです。また、一方で、屋外広告物は建築物や緑地等と同様に景観や環境を構成する重要な要素でもあります。このため、屋外広告物には、本来の情報提供機能とともに、都市や自然の景観及び地域の環境との調和が求められることになります。
 しかしながら、地域によっては、大型・大量の屋外広告物の無秩序な立地や違反広告物の存在、管理の悪さがもたらす危険で汚い屋外広告物の放置などが生活環境や景観に悪影響を与えている問題が指摘されています。

 このような状況のなかで、北海道では、屋外広告物の持つ本来の機能・役割を尊重しつつ、屋外広告物と都市・自然の景観や地域の環境との調和を図るため、良好な景観又は風致の維持及び公衆に対する危害の防止を目的として、北海道屋外広告物条例を制定し、設置場所や広告物の表示面積、高さなどについて規制を行っているところですが、より優れた広告景観の創造とその適正な維持管理を進めていくためには、条例による規制だけでなく広告主、広告業界、地域住民等の積極的・自主的な取組みが大変重要になっています。


1-2 屋外広告物の維持管理の必要性と「管理指針」

 屋外広告物は掲出時点でどのように美しく堅固なものであっても、その後の維持管理を怠ると経年の外的要因によって部分的又は全面的に損傷を受けます。

 近年の屋外広告物の大型化・永久構造化は、設置後の屋外広告物の適正な維持管理をますます重要なものとしています。管理の悪い広告物の放置は、景観や環境を著しく阻害するだけでなく、固定広告物の場合は、ひとたび倒壊、落下等の事故が発生すると公衆に対し大きな危害を及ぼすおそれがあります。また、地震時、台風時における広告物の安全性に関心がもたれています。

 北海道屋外広告物条例では、このような屋外広告物の管理の重要性にかんがみ、広告主や管理者の管理義務を次のとおり明文化しています。

北海道屋外広告物条例第12条第1項
 

 「行為者等は、広告物又は掲出物件に関し、補修その他必要な管理を行い、良好な状態に保持しなければならない。」

※ 行為者等とは、広告主、広告主から委託を受ける等により、広告物を表示     し、又は掲出物件を設置する者及び当該広告物又は掲出物件を管理する者をいう。 


 また、管理者の設置について、条例施行規則により定めています。
 この規則において、管理者は全ての固定広告物に設置するとし、管理体制上、道内に住所(法人にあっては、事務所)を有するものをその対象としています。
 さらに、一つの広告物の表示面積が10平方メートルを超えるものについては、特に安全性や管理体制の整備を図るため、資格のある管理者(以下「有資格管理者」という。)を配置することとしています(法人を有資格者とする場合は、道内に住所を有する資格のある者を雇用していることが必要。)。


北海道屋外広告物条例施行規則第8条の2
第1項  
   「出願者は、当該許可を受けた広告物又は掲出物件が条例第6条第3項に規定する広告物若しくは掲出物件又は別表第1の簡易広告物である場合を除き、道内に住所(法人にあっては、事務所)を有するものを管理者として定めなければならない。ただし、出願者が道内に住所(法人にあっては、事務所)を有するものである場合は、自ら管理者となることを妨げない。」
第2項
  「別表第1の固定広告物(壁面広告物については、壁面に取り付けられたもの及壁 面から突き出して装置されたものに限る。)で、表示面積(壁面広告物については、壁面に取り付けられたもの又は壁面から突き出して装置されたものの個々の表示面積)が10平方メ-トルを超えるものを表示し、又は設置する場合は、出願者は、次の各号に掲げるいずれかの者(法人を管理者として定めるときは、次の各号に掲げるいずれかの者(道内に住所を有する者に限る。)を雇用している法人)を前項の管理者とするものとする。
(1) 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第10条第2項第3号イの試験に合格した者
(2) 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第44条第1項に規定する技能検定のうち、広告美術仕上げの1級に係るものに合格した者
(3) 建築士法(昭和25年法律第202号)第2条第2項に規定する1級建築士又は同条第3項に規定する2級建築士で条例第14条の3第1項第1号に規定する講 習会を修了したもの
(4) 電気工事士法(昭和39年法律第139号)第4条の2第1項の規定により特種電気工事資格者認定証(ネオン工事に係るものに限る。)の交付を受けた者で 条例第22条第1項第1号に規定する講習会を修了したもの
(5) 電気事業法(昭和39年法律第170号)第44条第1項第1号から第3号までに規定する第1種電気主任技術者免状、第2種電気主任技術者免状又は第3種電気主任技術者免状の交付を受けた者で条例第14条の3第1項第1号に規定する講習会を修了したもの
(6) 条例第22条第1項の規定により屋外広告業者が営業所ごとに選任する業務主任者となる資格を有する者

 この管理指針は、広告主や管理者が条例の管理義務規定に基づいて日ごろ屋外広告物の管理を行う際の具体的な点検項目及び対応策を示すことにより、適正な維持管理の自主的な実施を促進し、屋外広告物と都市・自然の景観及び地域の環境との調和とその安全性の確保が図られることを目的として定めたものです。

第2 適用の範囲
   この管理指針は、広告物等のうち北海道屋外広告物条例施行規則別表第1に規定する固定広告物を対象とする。

2-1 管理指針の対象となる屋外広告物

 屋外広告物には、紙、布製の小型で簡易なものから鉄骨造の大型で堅固なものまで様々な種類があります。この管理指針では、これらのうち掲出形態からみて良好な景観又は風致に与える影響が大きく、安全性の確保が特に必要な固定広告物(広告板、広告塔など耐久性のある材料を使用して作成されたもので、土地、建築物等に固定された状態で設置されているもの等をいいます。なお、具体的な種類は、北海道屋外広告物条例施行規則別表第1に定められています。)を対象とします。
 また、出願者は、条例施行規則によりこの固定広告物のうち、一つの広告物の表示面積が10平方メートルを超えるものを当該管理指針に基づき有資格管理者に点検させるよう努める旨が定められています。


北海道屋外広告物条例施行規則第8条の2第3項
    「出願者は、前項各号のいずれかの者を第1項の管理者とした場合は、当該管理者に、知事が定める安全性についての指針に基づき、当該広告物又は広告物を掲出する物件を点検させるよう努めるものとする。」


2-2 禁止広告物

 北海道屋外広告物条例では、良好な景観若しくは風致を害し、又は公衆に対して危害を及ぼすおそれのある屋外広告物を次のとおり禁止しています。(「禁止広告物」といいます。)

北海道屋外広告物条例第4条
    「形状、面積、色彩、意匠その他表示の方法が、良好な景観又は風致を害するおそれのある広告物又は掲出物件は、表示し、又は設置してはならない。」
北海道屋外広告物条例第5条
  「公衆に対し、危害を及ぼすおそれのある広告物又は掲出物件は、表示し、又は設置してはならない。」


 さらに北海道屋外広告物条例施行規則では、禁止広告物となる具体的な状態を次のとおり定めています。

北海道屋外広告物条例施行規則第3条
   「次の各号に掲げる広告物又は掲出物件は、当該状態において、引き続き表示し、又は設置して置いてはならない。
(1) 著しく汚染し、たい色し、又は塗料等のはく離したもの
(2) 著しく破損し、又は老朽したもの
(3) 倒壊又は落下のおそれのあるもの
(4) 信号機又は道路標識等に類似し、又はこれらの効用を妨げるおそれのあるもの
(5) 道路交通の安全を阻害するおそれのあるもの」


 この管理指針は、屋外広告物がこの北海道屋外広告物条例施行規則第3条のうち(1)から(3)までに掲げる状態に陥ることのないよう具体的な点検項目と補修等の対応策を示したものです。


2-3 固定広告物以外の屋外広告物の維持管理

 この管理指針の適用を受けない屋外広告物(簡易広告物及び移動広告物)にあっても、良好な景観若しくは風致を害し、又は公衆に対し危害を及ぼしてはならないことにかわりはありません。適正な表示のためには、点検に努め、必要に応じ補修等を行い表示時の状態を保つようにしなければなりません。

 また、表示の目的を終了しているにもかかわらず放置されたままの屋外広告物の多くは、はり紙、はり札等の簡易広告物です。これらは違反広告物に該当する場合も多いことから、適正な維持管理とともに、不要な広告物の除却を励行し、都市景観の基礎的な水準の向上に努める必要があります。

第3  点検の実施
   行為者等は広告物等が塗装の汚染、変色若しくははく離又は錆の発生等のために 良好な景観又は風致を害することのないよう、点検しなければならない。
 行為者等は広告物等が材料の劣化、錆の発生等により構成部材が破損し、又は落 下するなどして公衆に対して危害を与えることのないよう、次の各号により点検しなければならない。
(1) 基礎
地盤の沈下又は変形等
(2) 支持・接合部
腐食、腐朽、摩損若しくは破損又は移動
(3) 構成材料
腐食、腐朽若しくは摩損又は変形等
(4) その他の点検
ネオン管、照明灯などの取付け状態


3-1 良好な景観又は風致の維持のための点検

 固定広告物は、通常、文字、記号、絵等が描かれている広告板などの表示部分と、それを地面又は建築物等に固定する支柱などの支持部分とから構成されていますが、周囲の良好な景観又は風致に最も影響を与えるのは広告物の表示部分です。

 良好な景観又は風致を維持するための管理に当たっては、その視認性のよしあしにより判断しがちですが、遠くから眺めるだけでは細かな塗膜の変化や発錆状況は確認できません。広告物の表示塗装面(塗料、下地材及び表示部分と一体となった枠組みを含む板)の状態に十分注意を払い、汚染、変色等やはく離、錆の発生等の状況を点検しなければなりません。


3-2 安全性のための点検

 固定広告物が安全であるためには、強風、地震時などに転倒・倒壊しないことや、部品などその構成部材が落下しないことが基本になります。

 既設広告物の転倒・倒壊の事故発生状況をみると、風によるものが多いため、事故防止には風害に対する対策が特に重要です。これらの事故のほとんどは、構成部材接合部や基礎のアンカーボルト、ベースプレートの部分の破壊により発生しています。

 また、広告物に付属している部品が落下して、通行人や道路上に駐車している車などに危害を与える事故も報告されています。
これは設置時点では堅固なものであっても、時間の経過にしたがって、風などによる繰り返し振動や材料の劣化、錆等が原因で構成部材が部分的に割れたり、はずれたり、折れるなどがその原因となっています。

 このような事故を防止するため、安全性の管理に当たっては、基礎や接合部・支持部とともに構成部材自体及び照明装置等の付属設備の状態にも十分注意を払い、変形、破損、腐食等の状況及び取付け状態を点検しなければなりません。この場合、広告物等の形態やネオンサインなど設備の特殊性によっては、屋外広告業者など専門家による点検が必要になります。

第4 危害防止の措置等
 点検の結果、当該状態において表示又は設置が継続された場合に、当該広告物等について良好な景観若しくは風致を害し、又は公衆に対し危害を及ぼすおそれが生じるものと認められるときは、行為者等は、直ちに補修その他の必要な措置を講じなければならない。

第5  具体的な点検項目及び処理方策
   良好な景観又は風致の維持のための具体的な点検項目及び処理方策は、別表1のとおりとする。
 広告物等の安全性の確保のための具体的な点検項目及び処理方法は、別表2のとおりとする。


 北海道屋外広告物条例では、広告主や管理者に対し、管理義務として広告物等を良好な状態に保持することを求めています。(第12条第1項)

 点検の結果、そのまま放置すると禁止広告物に該当するおそれがあると認められる場合には、広告主や管理者は、当然直ちに補修など必要な措置を講じなければならなりません。

 この管理指針では、自主的な維持管理の実施を促進するため、良好な景観又は風致を維持し、広告物等の安全性を確保する上での具体的な点検項目とその処理方法を、別表1及び別表2に示しています。

 表に示されているのは、特に注意する必要のある点検部位及び診断項目と直ちに補修等の措置が必要と判断される典型的な状況及びその処理方法です。広告物等の形態や状況、また、設備の特殊性によっては屋外広告業者など専門家による診断が必要となります。

 なお、これらの点検項目及び処理方法は、適正な維持管理のための必要最小限のものにすぎません。表に掲げる状況が発生しているときは、もはや設置当初の機能や役割は十分保たれていないということができます。広告主や管理者は、広告物等が周囲の景観や環境と調和しながら本来の情報提供機能を常時発揮することができるよう、補修等が必要となる状況の未然防止に努める必要があります。

第6 点検の時期
  行為者等は、毎年、定期的に広告物等の点検を実施しなければならない。
強風、地震等が発生し、広告物等の安全性に影響が及ぶおそれがあると認められるときは、直ちに点検を実施しなければならない。


第7 点検結果表の作成
   行為者等は、点検を実施する場合には、別表3の点検表を作成し、保管するものとする。
 また、広告主等と管理者が同一の者でない場合の管理者は、当該点検表により広告主等へ広告物の状況を報告するよう努めるものとする。


 時間の経過による影響を確認し、適切な維持管理を行うためには、毎年、定期的に点検を行わなければなりません。
 また、事故防止のためには、強風、地震後などは直ちに点検を実施し、安全性について十分注意する必要があります。

 これらの点検結果は、異常や補修等の有無に関わらず記録し、保管しておくことが大切です。別表3に点検結果表が示されていますが、点検や補修等の後に速やかに作成する必要があります。点検表は、次回の点検の際の技術的判断や対応策の決定のための貴重な資料となります。
 また、管理者は、広告主等へ広告物の状況を報告する際にこの点検表を使用し、広告物の安全管理に役立てることとします。