□ 認知症
世界保健機関(WHO)では、認知症とは、「いったん発達した知的能力が様々な原因で持続的に
低下した状態をいい、慢性あるいは進行性の脳の疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、概念、
計算、学習、言語、判断など多面的な高次脳機能の障害からなる症候群」と定義されています。
一般的には、「脳の病変によって、記憶を含む複数の認知機能が後天的に低下し、社会生活に
支障をきたすようになった状態」をいう、とされます。
痴呆から認知症へ
認知症は、従来、「痴呆」と呼ばれていましたが、
「痴呆」は侮蔑的で、高齢者の尊厳を欠く表現であり、その実態を正確に表していず、また、早期発見
早期診断等の支障となっていて、それらのことが認知症の取り組みへの障害ともなっていることなどか
ら、国(厚生労働省)の委員会での検討結果を受け、平成16年12月以降、行政用語として「認知症」
を用いることとされました。なお、関連する法律上の条文改正は、平成17年の通常国会において、
介護保険法の改正により行われました。
□ 一般的な「もの忘れ」と認知症の「もの忘れ」の違い
健康なお年寄りでも「もの忘れ」をすることがあります。健康なお年寄りの「もの忘れ」は加齢に伴う
ものであり、認知症の「もの忘れ」は病気によるものとされますが、以下のような違いがあるとされます。
□ 認知症の原因
認知症の原因疾患としては、アルツハイマー病などの神経変性性疾患、脳血管性疾患のほか、脳炎
などの感染症、脳腫瘍、中枢免疫疾患、外傷、髄液循環障害、内分泌障害、中 毒、栄養障害など
多岐にわたります。
また、心身の状況やまわりの環境の変化が認知症の症状を促進させる要因ともいわれています。
例えば、
● 身体要因
日常的な病気で寝たきりにしておいたり、発熱や下痢による脱水症状 など
● 精神的要因
欲求不満、家庭内のトラブル、過度の心労や不安、いらいら感、抑うつ など
● 環境的要因
環境の急激な変化、例えば、田舎から都会の生活に伴い精神的な動揺をきたし、認知症が進む
こともあるといわれます。
代表的な認知症としては、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭
側頭型認知症があり、治療可能な認知症としては、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水
頭症、ビタミン欠乏症があります。
出典:(財)日本公衆衛生協会発行「かかりつけ医認知症対応力向上テキスト」より作成
□ 認知症の症状
認知症の症状には、病気等による脳の障害によって生じる記憶障害などの「中核症状」 と、中核
症状により生活上の困難に適合できない場合に本人の性格、身体状況や環境によって起こる徘徊、
幻覚、暴言・暴力、異食などの「周辺症状」とがあります。
適切な医療や介護により、認知症の進行を抑えたり、周辺症状の改善で穏やかな生活をおくること
が可能とされます。症状に気づいたら早めに医療機関を受診することが大切です。
出典:(財)日本公衆衛生協会発行「かかりつけ医認知症対応力向上テキスト」より作成
□ 認知症の早期発見、早期診断
認知症の初期段階ではなかなか気づきにくいもの
国(厚生労働省)の介護予防事業で示されている軽度の認知症などの可能性のある高齢者を把握
するための「基本チェックリスト」のほか、次の「認知症早期発見のチェックポイント」に少しでも当ては
まると思われましたら、
早めに認知症対応力向上研修を修了した地域のかかりつけ医及び専門外来のある病院(もの忘
れ外来、精神科、神経内科、脳神経外科、心療内科、老年病科等)や老人性認知症センターなどの
専門医療機関の受診を心がけてください。
初期のうちに治療や介護のプランを考えていくことにより、認知症の進行を食い止め、家族の介護
の負担を軽減することもできます。
認知症の原因や状態によっては、日常生活に支障のない程度まで回復することも可能とされて
います
【 認知症早期発見のチェックポイント 】
・ 同じことを何回も言ったり聞いたりする
・ 財布を盗まれたという
・ だらしなくなった
・ いつも降りる駅なのに乗り過ごした
・ 夜中に急に起き出して騒いだ
・ 置き忘れやしまい忘れが目立つ
・ 計算の間違いが多くなった
・ 物の名前が出てこなくなった
・ ささいなことで怒りっぽくなった
出典 東京都福祉局:「高齢者の生活実態及び健康に関する調査・専門調査報告書」1995
家族からみて「もしや認知症では?」と心配になったとき、どの程度の疑いがあるか、目安を
つけるためのチェックリストが「認知症を知るホームページ www.e-65.net(イーローゴネット)
http://www.e-65.net/check_index.html」で公開されています。
なお、チェックリストの結果だけで診断はできませんので、調査の結果、疑わしいときは、
かかりつけ医などに相談してください。
□ 認知症の予防
認知症の発症予防には、普段の生活から「健康なからだ」と「脳をつかう生活」を心がけること、
具体的には、栄養バランスのとれた食生活、適度な運動習慣、十分な睡眠をとるなど生活の質
を改善していくほか、地域でのサークル活動や社会活動に積極的に参加することなどが有効と
されています。
1 脳を普段からきたえる
たとえば、
・市町村が実施している「回想法」、「かなひろいテスト」などの教室に参加
・体験したことを日記帳などに記載 など
2 生活習慣に気をつける(発症のリスクをすくなくする)
たとえば、
・生活習慣病(高血圧、肥満など)などに気をつける
・適度な運動習慣(ジョギングなど)をもつ
・バランスのとれた食事(塩分控えめ、魚・野菜中心の献立に)
・町内会、自治会活動など社会活動に参加 など
□ いろいろな相談窓口
● 保健所・市町村保健センター (道立保健所の連絡先はこちら)
保健師や専門の相談員が健康相談等に応じています。
● 精神保健福祉センター
認知症を含め、心の悩みに対する相談に応じています。
| 施設名 | 電話番号 | 住所 | 相談時間等 |
| 北海道立精神保健福祉センター |
011-864-7171 (相談専用) |
〒003-0027 札幌市白石区本通 16丁目北6番34号 |
月~金曜日 9:00~17:00 札幌市以外の方を対象 |
| 札幌市精神保健福祉センター |
011-622-2561 (相談専用) |
〒060ー0042 札幌市中央区大通西 19丁目 |
月~金曜日 9:00~17:00 札幌市民の方が対象 |
● 北海道高齢者総合相談・虐待防止センター
高齢者に関する総合相談窓口です。
〒060-0002
TEL 011-251-2525 FAX011-251-6156
月~金曜日 9:00~17:00
● 認知症電話相談
認知症介護の経験者が電話相談に応じています。
・北海道認知症コールセンター (運営:北海道認知症の人を支える家族の会)
〒060-0002
TEL/FAX 011-204-6006
毎週:月~金、午前10時~午後3時
・「北海道若年認知症の人と家族の会」
〒060-0002
TEL/FAX 090-8270-2010
毎週:木曜日のみ 午前10時~午後3時
● 市町村の介護保険・高齢福祉担当窓口
介護サービスや介護予防などの保健・福祉サービスの利用のしかた、日常生活のアドバイスや
介護の方法などについての相談に応じています。
また、お住まいの近くの民生委員は、最も身近な相談役です。行政と連携を取りながら対応しま
すので、ご相談下さい。
市町村が設置する高齢者のケアや介護予防に関する総合相談窓口です。「どこに相談したら
よいのかわからない」ときには、まずは連絡、相談してください。
● 在宅介護支援センター
認知症の相談、介護保険の申請、介護予防サービスの相談に応じています。センターの多くは、
特別養護老人ホームや老人保健施設に併設されています。
道では、各地域のかかりつけ医を対象として認知症高齢者に対する適切な認知症診断の知識
技術、家族からの話や悩みを聞く姿勢を習得する研修の実施、また、地域のかかりつけ医から
の相談、指導等にあたる認知症サポート医を養成しています。
「おかしいな?」と思った時には、地域の「かかりつけ医」に相談して下さい。
認知症に伴って幻覚、せん妄、徘徊などの症状が著しく、その看護が困難な方を対象に集中
治療を行っています。
● 老人性認知症センター
老人性認知症センターでは、ご家族をはじめ、福祉施設等の介護現場で働いている職員、介護
支援専門員等、認知症の人にかかわる人からの相談に応じています。
| 指定病院 | 所在地 | 電話番号 |
| 市立釧路総合病院 | 釧路市春湖台1番12号 | 0154-41-6121 |
| 市立札幌病院静療院 | 札幌市豊平区平岸4条18丁目 | 011-821-0070 |
| 医療法人社団玄洋会道央佐藤病院 | 苫小牧市字樽前234番地 | 0144-67-0236 |
| 医療法人社団博仁会大江病院 | 帯広市西20条南2丁目5番3号 | 0155-33-6332 |
| 市立函館病院 | 函館市港町1丁目10番1号 | 0133-43-2000 |
● 認知症疾患医療センター (モデル事業指定)
認知症専門医による鑑別診断、合併症や周辺症状等の急性期対応を行うとともに、専従の精神保健福祉士による
医療相談や地域包括支援センターとの連携により、認知症の方やその家族へ医療的側面からの支援を行います。
|
医療機関名 |
住所 |
電話番号 |
|
砂川市立病院 |
砂川市西4条北2丁目1番1号 |
0125-54-2131 |
|
医療法人社団玄洋会道央佐藤病院 |
苫小牧市字樽前234番地 |
0144-67-0236 |
道では、認知症介護実践研修を企画・立案し、講義・演習・実習を担当することができ、また、
介護保険施設・事業者等における介護の質の改善についての指導者として、認知症介護指導者
を、認知症介護研究・研修仙台センターに派遣し養成しています。
認知症介護指導者は、地域包括支援センターや認知症介護保険事業所等からの介護相談や
介護現場の職員に対する指導・助言も行いますので、連絡の上、ご相談してください。
在宅で生活している認知症高齢者の方などに、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理、
書類等の預かりなどのサービスを提供しています。
〒060-0002
社会福祉法人 北海道社会福祉協議会
北海道地域福祉生活支援センター本部 TEL011-290-2941
来所、電話による相談ともに…月曜日~金曜日 9:00~17:00
● 成年後見制度について
土地等不動産に係る契約締結や遺産分割などの法律行為を本人の代理で行うができるよう
権限を与える制度です。
相談先 札幌家庭裁判所 TEL011-221-7281
成年後見センター・リーガルサポート札幌支部 TEL011-280-7077
法務省民事局のホームページ など
● 主なインターネットによる検索/相談サービス(国及び都道府県を除く)
認知症関係の情報を提供しているサイトのうち、主なものを参考までにご紹介します。
・独立行政法人福祉医療機構「ワムネット」(http://www.wam.go.jp/)
・北海道救急医療・広域災害情報システム(http://www.qq.pref.hokkaido.jp/qq/qq01.asp)
・北海道介護サービス情報公表システム(http://system.kaigojoho-hokkaido.jp/kaigosip/Top.do)
・認知症ケアポータルサイト(http://www.ninchishou.com/)
・認知症を知るホームページe-65ネット(http://www.e-65.net/check_index.html)
・認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議ホームページ
(http://www.ninchisho100.net/)
・認知症サポーター100万人キャラバン(http://www.caravanmate.com/contents.html)
・認知症介護研究・研修センター(http://www.dcnet.gr.jp)
・だいじょうぶネット(http://www.dai-jobu.net/)
・いつどこネット(http://www.itsu-doko.net/)
・(社)認知症の人と家族の会(http://alzheimer.or.jp/jp/index.html)
・認知症なんでもサイト(http://www2f.biglobe.ne.jp/~boke/boke2.htm)
・全国グループホーム協会(http://www.zenkoku-gh.jp/)
・北海道グループホーム協議会(http://www.hokkaido-gh.org/conduct.html)
・北海道若年認知症の人と家族の会(http://www.geocities.jp/himawari27ad/)
・北海道認知症コールセンター(北海道認知症の人と家族の会)(http://www.ninchisyo.com/)
□ 厚生労働省政策リポート(「認知症を理解する」(厚労省老健局計画課認知症・虐待防止対策推進室)
□ 統計資料
1 認知症高齢者数
全国の要介護認定者における認知症高齢者数からの将来推計では、認知症高齢者数は、
高齢化の進展に伴って増加し、平成17(2005)年の約170万人から10年後の平成27
(2015)年には約250万人、ピ-クとなる平成52(2040)年には、385万人になるものと
推計されています。
国の推計方法に基づき、道内の認知症高齢者数を推計すると、平成17年では約8万人、
10年後の平成27年には、約11万8千人に増加するものと推計されます。
2 認知症高齢者の年齢別(65歳以上)出現率